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クラシック発声による1930年代ジャズボーカルは素晴らしい! [チャールストン倶楽部]

1930年代は「クラシックの発声」によるポビュラーが当り前だった!

クラシックの「声楽」を学ばれた方が,ジャズやポピュラー・ボーカルに切換える際,最も大きな障害となるのが「発声法」でしょう。

両者に共通する部分も多く,1940年代頃,フランク・シナトラ等が「マイクを活用した唱法」でジャズ/ポピュラーの流れを変える迄は,1930年代以前は「クラシック唱法」による「流行歌(ポピュラー)」が当然でした。

そもそも「白人音楽」と「黒人音楽」が融合してジャズができた!

唱法に限らずジャズ/ポビュラー音楽自体が,「クラシック(白人)的な要素」と「ブルース(黒人)的な要素」の融合でできています。

なるほど1930年代といえど,ベッシー・スミスやルイ・アームストロング等の「ブルース歌手」は「非クラシック的な発声」で歌い,又,これが現在のジャズ/ポビュラー唱法の基本スタイルとして継承されます。

しかし1930年代の「クラシック唱法」による「流行歌」も黒人音楽とは別な味わいがあります。

試しに聴き比べてみましょう。

まずは「クラシック唱法/白人歌手」
1930年前後に録音されたRuth EttingによるLove Me ot Leave Me
http://youtu.be/JB9VVTMiX1k

対する「ブルース唱法/黒人歌手」は1940年代の録音となりますが,
ビリー・ホリデーによる同じ曲;
http://youtu.be/uRecliV1l14

如何でしたか?

どちらも良いと思われたかもしれません。

実はビリー・ホリデーは古今東西のジャズ歌手の最高峰であり,
これ以上にはない,という程に素晴らしい歌唱を聴かせます。

ビリーを聴いてから他のジャズ歌手を聴くと(録音の質は良いとしても),
何だか色褪せて聴こえてしまいます。

つまりビリーと比べて「これこも良いかな」と思えるジャズ歌手はいない訳で,
私見かも知れませんが,元来「黒人派」の僕が聴いてRuth Etthingのは,
必ずしもビリーに劣らない魅力を感じる訳で,やはり素晴らしい,といえます。

1930年代頃迄は「クラシック唱法による白人のジャズ歌手」が沢山いた!

Ruthが独自に素晴らしいのではなく,同じような白人「流行歌」歌手が他にも沢山存在した,という事を忘れてはなりません。

近年,クラシック歌手がジャズ/ポビュラー曲を歌ったものは,有名無名を問わず,音楽としての水準に達した物はむしろ例外と言えます。

これはクラシック歌手が「ブルース音感」や「Swing リズム」の「訓練」を行わず「我流」で安易にジャズ/ポピュラー曲の表面をなぞるが故の醜態ですが,1920〜30年代のクラシック歌手は「ジャズとしての正しい歌い方」を修得した上でステージに登った訳です。

別な言い方をすれば,基本的にはクラシック歌手だが,イタリア・オペラが得意なヒトもいれば,ドイツ歌曲が得意なヒトもおり,一部のヒトが当時「ラグタイム」或は「スゥイング」と呼ばれた音楽…いわば「アメリカ歌曲」…に取組んだ,という事でしょう。

案外,見過ごされますが,「Body and Soul」「Love for Sale」「It's only a paper moon」等のジャズ・スタンダードの大半は白人(殆どがユダヤ人)の職業作曲家によって創作された,という点です。

つまりショパンが「ポーランド感覚」を,ブラームスが「ジプシー感覚」を拝借したように,本来はクラシック作曲家足り得た人材が「ブルース感覚」を取入れた音楽を創造した訳です。

そして同様にクラシック歌手だが「ブルース感覚」を修得できた白人女性が,白人によって創られた「ラグタイム〜スウィング音楽」を歌唱し,1920〜30年代の「流行歌(ポビュラー)」として親しまれたのでしょう。

重要な点は,Ruth Etthing等の白人「流行歌」歌手が,例えば現代でいえばマライヤ・キャリーの曲をクラシック歌手が真似した,という「所詮はニセモノ」だった訳でなく,むしろガーシュインやコール・ポーター等の音楽は彼女達「白人歌手」によって歌われた形が本来のスタイルだとさえ言えなくない点です。

ジャズ・スタンダード100曲中,どれが白人作曲家によるもので,どれが黒人作曲家によるものか耳によって判別する事は不可能です。

「ボディ・アンド・ソウル」という曲はジャズ・ファンならば誰でも知っているスタンダードですが,これがガーシュイン(ロシア系ユダヤ人)作曲である事を認識しているヒトは精々半分位でしょう。

それを白人,黒人が夫々の民族感性で発展させています。

1930年代の録音を聴き比べてみましょう。

まずは白人女性歌手;
Ruth Ettingの歌; http://youtu.be/34IeErbNSvM
Annette Hanshaw http://youtu.be/S3YLS7ODQMs
Leo Reisman http://youtu.be/6hTYEK3GqrY
Libby Holman http://youtu.be/DlzdNn4hRBM

それぞれ違う編成のジャズバンド〜オーケストラを伴奏に歌いますが,
説得力のある歌となっています。

次は1930年代の録音で黒人男性で後年に無名時代のマイルス・デイビスも楽団に参加したリーダーであるビリー・エクスタィン;
http://youtu.be/aHp26nni_8Y

これは,むしろ白人女性によって成されたクラシック的発声を真似している,
と聴こえてしまいます。

むしろお薦めは1950年代録音ですが黒人歌手ビリー・ホリデー;
http://youtu.be/CMDlk6lGQOk

ビリーの歌唱は「クラシック発声」ではなく「ブルース」に基づくものですが,これはこれで素晴らしいと唸ってしまいます。

同じく'50年代の黒人サラ・ボーン
http://youtu.be/Tuo1aju4JnY

サラはビリーの後輩に当たりますが,在世当時,ビリーはサラを強く意識したのは,サラが新しい表現と完璧な唱法を身についていたからでしょう。

注意すべきは,1930年代のエクスタインやビリーには何かしら「クラシックの発声」について影響もしくは劣等感が見えなくもないに対し,サラはクラシックではなく,「ブルース唱法」を現代的,合理的な発展させた唱法を持った点です。

ついでに,もう一つだけ聴いてみましょう。
今,最も人気が高いジャズシンガーである白人のダイナ・クラール(弾き語り);
http://youtu.be/n1RLo8cxwgc

なるほど上手いし,勿論,説得力のある歌唱なのですが,聴き比べるとサラ・ボーンあたりの「物真似」もしくは延長線という感じがします。
「クラシック唱法」ではない,「ブルース」に基づく「現代ジャズ歌唱」のトップがダイナ・クラールであり,これはこれで良いのですが…。

まとめますと,
a.1930年代のクラシック唱法による白人歌手」 b,1950年代のブルース唱法による黒人歌手」 c,現代ジャズ唱法=黒人歌手の唱法の体系化」

の三種類があり,それぞれ魅力的だといえます。

実は僕自身は「クラシック唱法」はクラシック系音大生当時(ちなみに作曲科),
好きで「声楽」を習った程度で,cの「現代ジャズ唱法」しかできませんが,
今回,巡り会った「1930年代のクラシック唱法によるジャズボーカル」はとても素敵だと感じました。

僕自身はクラシックのトレーニングを積んだ訳では全くないので,自分では歌えませんが,この「Classic Style Jazz Vocal」の研究〜普及に取組んでいきたいと考えています。

どうぞ,ご賛同頂ける方は連絡下さい。Kimball Piano Salon (大阪梅田)
http://www016.upp.so-net.ne.jp/kimball 


1930年のヒット曲集:「ハッピー・デイズ・アー・ヒア・アゲイン」

1930年のヒット曲集:「ハッピー・デイズ・アー・ヒア・アゲイン」

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Naxos
  • 発売日: 2002/06/18
  • メディア: CD



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NO NAME

1930年代~1950年代JAZZVOCALを検索していて偶然訪問させていただきました。昔からJAZZVOCALが好きで聞いてました。クラシック発声による1930年代ジャズボーカルは素晴らしい! [チャールストン倶楽部]を読ませていただきました。自分が好んで聞いているものや、趣向性がClassic Style Jazz Vocalなのかどうかはわかりませんが、読ませていただいてとても共感しました。専門的な技術や知識は全くありませんが、横道に逸れながら40年近くJAZZVOCALに憧れて趣味で今まで聞いてきました。宜しければ一つお聞きしてよろしいでしょうか?評論家のコラムで黒人歌手のルーリーン・ハンターってベースはブルースだそうですが、この人は何発声なのでしょうか?私は、ハンターの最初のアルバム「ロンサム・ギャル」をよく愛聴しております。
by NO NAME (2014-01-13 17:18) 

kf-jazzy

NNさま、返信が遅くなり失礼ました。私が「Classic 発声によるJazz Vocal」に関心を持ったのは、単純な話、「クラシック声楽の学校は卒業したが仕事がない」という方々がゾロゾロといる訳で、かといって「我流」で「星に願いを」でも歌われた暁には星どころか梅干も腐る、という程でして、人事ながら、これはアカン、クラシック発声だけで、ちゃんとした形のジャズができないものか、という変な動機からです。ルーリーンについて、よく存じませんが、言える事はなんにせよ「プロ」だある、という事と、この時代の歌手に関しては、単純に「クラシック」とか「ブルース」とか分けれない、という事です。但し、私の聴いた感じでいえば、むしろ「クラシック歌手」ではないか、と思います。評論家というのは、かなりいい加減な知識でテキトーに言っているのと「黒人=ブルース」という図式しか想像できないのだ、と思います。というのは、相変わらず「黒人=人種差別による苦しみがブルースを生んだ」という「日本人=フジヤマ芸者」的区分けがあり、例えばマイルス・デイビスのお母さんは本人は明かしたがらないのですが、フランス系クレオールで、これは本人もちらっと書いてましたがクラシックバイオリンを嗜みました。というか父方のディビス家もずっとクラシックを楽しんでいたそうです。即ち、ルーニンにせよ、むしろクラシック音楽の教育を受け、ブラームスなりの歌曲を歌っていた可能性もありますが、そこは当時の米国。黒人のクラシック歌手なんてものはありえませんから、ブルースというか、当時は黒人が歌う曲をなんでもかんでもブルースと呼んだ訳で、ブルース歌手なんて呼ばれたのではないかと想像します。ただ言える事は、いかにクラシックの教育を受けようが、そこは黒人ならではの味わいというものがあり、すばらしい音楽として今日の私達を癒してくださるのではないかとも思います。いずれにせよ、私達が提唱する20世紀初期の、かえって歴史に埋没してしまったクラシックのような、ジャズのような音楽にご興味があおりの方かりのお便りを頂まして、とっても感激しております。今後とも是非宜しくお願いします!
by kf-jazzy (2015-05-28 23:33) 

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