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「ドビッシーを理解する為」にジャズ和声を学ぶのは良い方法か?というご質問 [Kimball Piano Salon]

皆さん,こんにちわ。僕が以前書いた「番外編/ジャズ和声を学ぶとドビッシーやラベル等のクラシックの近代音楽がよく理解できる」に対し,ご質問を頂ましたので,最近話題の(?)「Elegance Swingとは何か?」も絡めてお話しましょう。

ご質問を頂いたのはクラシックピアノを長年学ばれておられるTさんです。

Tさんからの質問:ドビッシーを理解するにはジャズ和声を学ぶべきか,クラシックの近代和声学を学ぶべきか?

初めまして。クラシックピアノをずっとやっているものです。

私はクラシックの「音楽之友社/和声学全三巻」は習得しましたが,
最近,弾きたいと思った「ドビュッシー作曲/ノクターン」や「同/古代エピグラフ」を楽曲分析を始めた所,手も足も出ません!

確かに「クラシック和声」ではドビッシー等近代音楽の「旋法」や「ハーモニー」が分析できません。

それで「近代和声(松平頼朝など)の本」で独学しようか,などとも思いましたが,
藤井先生のブログ記事「クラッシック和声とジャズ和声の違い」を拝見し,
「なるほどジャズ和声を学べばいいのか!」と目からウロコでした。

現状,クラシックの古典〜ロマン派については,何とか楽曲分析できるのですが,
ドビッシーやラベル等の近代音楽以後については,まるで歯が立ちません。

この状況を打破したく,質問させて頂ます。

•近代音楽を理解するには「ジャズ和声を学ぶ」方が却って易いでしょうか,
 或はオーソドックスにクラシックの「近代和声学」を学ぶべきでしょうか?

それと,もう一つ。

私は「Lounge Jazz(Elegance Swing )」にも興味があり,自分でも弾けたら素敵だ,と思いますが,上記「クラシックの近代和声」と「Lounge Jazz」を同時進行させて学ぶ事は可能でしょうか?


答え;ジャズ和声学を学ぶ方が効率的かと思います。

Tさん,初めまして。メールをありがとうございました!

私の立場からすれば我田引水的に「ジャズ和声を学ばれた方がお得ですよ!」とつい言いがちですが,仮に私に習われるにしろ,私のレッスンプログラムは「生徒さんに必要な事を学んで貰う(必ずしも学びたいかどうかは別として)」という哲学でして,ケースbyケースです。

つまり「何をする為」に学びたいのか?という事をお考え下さい。

今回,Tさんのメールでのご質問に対し,敢えて公開回答させて頂いたのは,
(ブログ・ネタがないから,という実情もありますが…汗),
Tさんのご質問が私にとって「的を得ている!=私と同じ考え方」と感じたからです。

「音楽理論を学びたい」理由として「××音大を受験したい」は許せるとして,
「何々指導者グレードを取得したい」なんてのは私からすれば「目的自体が間違っている」と断言できますし,これは私の事務所がそういう業務に携るが故に文句も言えませんが,
「ラウンジ・ピアニストの仕事がしたいから」というのも良いとは思えません。

楽器屋さんの講師グレードなぞ取得しても無意味」というのは,
よく言われるように「頑張って取得しても仕事はない」という「現世利益」
のアテが外れる事は自業自得として,率直に言って,楽器屋さんが設定する
「講師」の程度といいますか内容が「音楽教育」と呼べる代物ではないからです。

「六級だから駄目」だが「三級ならば大丈夫」という訳でなく,
私に言わせれば,楽器屋さんの「講師グレード」は,
例えていえば「カップラーメンの作り方」と本物の「料理」とを取り違えている感があり,
賛同できません。

且つ,それ以上に好きではないのが「何級」に拘る人に限って,
他の重要な勉強をせず「グレードの勉強」しかしない事です。

仮に「何級取得」に何かの幻想を抱くにせよ,
まずは「音楽の勉強」に集中し,育成された実力で,いわば「おまけ」で
「グレード」とやらを取得する,というのが本来です。
(尤も「ちゃんと勉強」すれば,グレードの教材自体が,
音楽的に間違いだらけで,マトモには弾けず,理論も正しい回答ができない,
つまりは回答や課題を実施する以前に,課題の間違いを修正したくなる代物に過ぎない,
という事が誰でも分かります。)

そう「音楽を学ぶ目的」というのは,ただ「音楽を探求したい」からに過ぎず,
その結果得れた音楽技能や感動の,いわば廃品再生として演奏業や教室業を営む訳です。

Tさんが「職業音楽家」かどうかは存知ませんが,
職業音楽家にとっての「仕事(アマチュアにとっての「音楽時間」)」とは,
ステージに立つ時間でも,レッスンする時間でもなく,
「勉強する時間」なのです。

という訳で回答に入る前に予めお話させて頂ましたが,
Tさんの「音楽を習う目的=ドビッシーを理解したい」という点にある事に,
私は大いに賛成させて頂ました。
(勿論,そうやってスキルアップした演奏を聴かせれる事で,
観客対しても誠意と楽しみを与えれると言えましょう。)

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さて「ドビッシー等を理解する為には,普通にクラシックの近代和声を学ぶ方が良いのか,ジャズ和声を学ぶ方が良いのか?」というご質問ですが,簡単に言えば「ドビッシーを理解するには,ドビッシーの音楽からしか学べない」となります。

よく「ドビッシーやラベル」といいますが,両者は例えば「トヨタ車と日産車の違い」程度の違いではなく,「自動車と飛行機」位に異なり「ラベルを学んだ」からと言ってドビッシーが理解できる,とは断言できません。

何度もいいますが「ドビッシーを理解する」にはドビッシーそのものからしか学ぶ事はできません。とはいえ「幾らドビッシーを分析しようとしても,何が書かれてあるのは理解できない」故に「近代和声学」か「ジャズ和声」の何れを学ぶべきか?という話に戻りますね。

つまりは「近代和声」と「ジャズ和声」の何れを学ぶべきか?という事です。

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予めお断りしておきますが,Tさんが例として上げられた松平先生御著「近代和声学」については語れる程には知りません。

ただし,松平先生や三善晃先生の御著については,Tさんのように「音友社/和声学全三巻」から入られた方には,かなり「難解」に感じられるでしょう。

というのは,これを以て「音友社/和声学全三巻」が駄目,とは言えませんが,
この本のコンセプトが良きも「課題の実施」にて楽理を学ぶ,という点にあり,
つまりは「和声の本の課題は解けるが,実際の楽曲は分析できず,
自分でも実際的な和声の能力は付かない」という奇態に陥いりかねない,
という問題を有します。

そして,その反対の発想でできているのが松平先生の「近代和声学」の御著です。

つまりは,これは非常に素晴らしい教材である,と言えます。

(つづく)

近代和声学―近代及び現代の技法

近代和声学―近代及び現代の技法

  • 作者: 松平 頼則
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1994/03
  • メディア: 単行本



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W・Morton

ドビュシーやラヴェル以降の近現代の音楽作品はアナリーゼしない方がいいと思います。直観的であるか感覚的であるか、または機能和声へのアンチテーゼとしての作曲理論は実際にどう響くかが大切なのだと思います。もうこれらは美学の領域です。人間の聴く耳にたえない音楽は理論倒れで作られなくなるものです。
by W・Morton (2016-02-15 20:29) 

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