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Elegance Swing/我が「ホテルのピアノ弾き」入門 [ピアノ]

最近「クラシックづいてるな」と冷やかされてしまう僕ですが,僕自身は中学生の頃,ルービンシュタインの「ショパン/ノクターン全集第二巻」に感動し「ピアノ稼業」に入りましたし,「学歴」もクラシック系しかなく,尤も「クラシックピアノ」と遠そうな「アシッド・ジャズ」にはまっている時もクラシックピアノの勉強は欠かした事がありません。

僕はジャズ業界(?)でこそ「妙にクラシック寄りな奴」と思われているかも知れませんが,
クラシックの世界では全然「ジャズピアノ奏者」としか見られません。

かと言って「クラシックのジャズの中間」にいる訳ではなく,
完全に「ジャズ系」の領域に暮らす訳ですが,
最近,俄に「クラシック・レッスン」への興味がわいてきました。

僕が絶えずクラシックピアノを学んで(練習し続けて)来たのは,
「趣味」ではなく,「プロのジャズピアノ奏者」としてのスキルアップの為です。

逆に言えば別段人前で「軍隊ポロネーズを弾く」とか「悲愴ソナタで感動させる」とかは全く考えず,
「ピアノ奏法」の向上と,それこそ「趣味」的な「弾く楽しみ」の為です。

僕は二十代からの十年あまり「バッハ/平均律ピアノ曲集」ばかりを練習し続けました。

実はほんの最近迄忘れていましたが,若い頃はフランス近代音楽の作曲家ガブリオレ・フォーレにも傾倒してたらしく,自宅の本棚から,もう鉛筆でびっしり書き込みしまくったフォーレの楽譜集が何冊かでてきました。

どう説明していいのは分かりませんが,僕にとっての「作曲」のお手本はフォーレであり,ジャズを含む「ピアノの弾き方」のお手本はバッハの音楽であり,例えばベートーヴェンのピアノ・ソナタなぞほんの数曲しか弾いてませんが,例えば「平均律ピアノ曲集」については様々な楽譜やCDを買い集め,運指法やフレージングの違いを「研究」したりしました。

ピアノ練習自体は,とにもかくにも「ジャズピアノの練習」が猛烈に忙しく,正直,クラシックピアノに充てる時間がなかった事もありますが,「クラシックピアノを目指そう」という気持ちもなく「平均律」のみを只管に学ぶ,という年月を過ごした次第でした。

尤もいつ頃から「クラシック曲のレパートリー」を増やし始めたのかは忘れましたが,
ジャズピアノについては或る程度の見通しがたった事と,同時にジャズの即興や作曲に行き詰まり,
打開として色々なクラシック曲を学び始めました。

実はベートーヴェンのピアノソナタなぞ何となく敬遠していましたが,
ジャズが分かり始めてから改めて「ピアノソナタ全集」なぞを見直すと,
これが何とも面白い,いうか,とてつもなく良くできた音楽だ,と分かり始めました。

そういえば来日していたドイツ人チェンバリストと友達になり,
バッハについて(と言ってもハ長調の前奏曲について),フレージングやハーモニーについて,
色々と話込む内「君はとても良く知っているなぁ」と言われ,
変な話ですがレッスン(?)のまねごとをしたりしました。

その時分かった事は,やたら分析していたので,なるほど,このモチーフはこう繋がり,
この響きはどこに解決する,という事はバッハが専門のドイツ人に負けない位に理解できたものの,
いざピアノで弾くと,これがもう彼にはかなわないのです。

技術的にどうこうでなく,彼が弾くとバッハが「スゥィング」している感じ。
僕が弾くと「ハノン」みたいに聴こえる訳です。

だからと言って悲観なぞ全くしなかったのは,どの道,自分はクラシックのピアノ奏者ではないからな,という気持ちからですが,むしろ(悔しいという程ではないにせよ)一寸した衝撃だったのは,
当時,自宅で使っていた国産のDiapason 183E というグランドピアノを彼が弾くと,
柔らかい響きのまま,しかし,たっぷりした音量で別物みたいに鳴る点です。

確かそれは1990年代前半,僕が30歳になる前の話ですが,
しかし,その時分から二年位はシンセサイザーによる音楽にはまり,
「指の維持」の為にバッハを弾く以外は殆どピアノには触れない年月を過ごしました。

結局,コンビューターで12台のシンセサイザーを制御して音楽を作る,という事に
ある段階でギブアップした事や,どこだったかで弾かせて貰ったベーゼンドルファーの美しさにすっかり魅せられ,再び「ピアノの世界」に戻ります。

且,活動拠点を海外に移し,又,当時講師業をしていたヤマハが貸してくれた事もあり,
ディスクラビアというMIDI機能付きのグランドピアノとシンセサイザーによる
「ニューエイジ・ミュージック(今でいうヒーリング)」の自作自演を始めます。

実は今でも結構「ビル・エバンス風のジャズピアノ」は得意なのですが,
当時もビル・エバンスが元にしたフランス近代音楽の「ドビッシー」風のサウンドを,
自己のスタイルとしています。

かと言ってドビッシー自体は学生時代に精々「ベルがマスク組曲」だったかをいい加減に弾いただけだったのですが,まがりなりにもピアノのデモンストレーターとしてギャラを頂けるようになった身としては,いい加減では駄目だな,と想い,ドビッシーも練習始めました。

正直,それ迄,ヤマハピアノは好きではありませんでしたが,当時の発売されたCF2だったか3だっかを弾かせて貰いますと,アフタータッチによる音の微振動とか,ソフトペタルとサスティーンペタルを連動させての音色変化が下手なスタインウェィより自在にできるので腰を抜かす訳です。

当時のヤマハはシンセサイザーでもVL1とかPFP500とか,素人には扱えない,何かしら狂気のような「コントロール性能」に拘った凄い楽器を作っていた訳です。

本当はシンセサイザーの世界にも未練がありましたが,ピアノ弾きとしてやって行く為には,
シンセを捨てて,ピアノに専念するしかない,と分かってましたから,
クラシックピアノも色々と練習始めた訳です(別段クラシックピアニストを目指した訳ではありませんが)。

尤も,「講師業」では今一つ食えなくて,結局は,二十代の時に散々やった「ホテルのピアノ弾き稼業」に逆戻り。よく「ミュージシャンで食えなくてアルバイトに講師業を始めた」なんと聞きますが,僕は逆パターンが多くて「ピアノ弾き」で稼ぎ,「道楽(趣味ではなく)」で講師業もする,というパターンが少なくないんです。

尤も「ホテルのピアノ弾き」なんてのも本当は大嫌いで,その仕事から離れる為に「シンセ/スタジオの仕事」を目指したのに,結局挫折して,相変わらず黒服だったか白いタキシードだったかを着せられたバーのピアノの前に座らせられたので,非常に「屈辱的」な想いをしました。

30代の前半は台湾に住んでまして,自分としてはクリエイティブな活動としてMIDIグランドピアノを駆使しての「ニューエイジミュージック」や,段々とはまってきた「ジャズピアノ教育」活動がありましたが,相変わらずの毎夜の「ピアノ弾き稼業」がありました。

当初は昼間の仕事だけで何とかやっていけるかな,と想いましたが,
(金遣いが荒かったせいもありますが…汗)どうも生活に不自由し,
「困った時のピアノ弾き稼業」という訳で「落ちぶれた」訳です。

とはいえ,相当な高級ホテルだった事から,
米軍関係と思われる米国人が集まっていまして,
ピアノの周りでカクテルかなんかを飲んでる訳ですね。

高級ホテルといっても,台湾で,且,米国人が相手ですから,
気楽に「ようビル元気?」とか言ってブラブラとピアノの前に座り,
ヘタ糞な英語力を駆使して「紳士淑女の皆さん,何とかかんとか」と話しつつ,
パラパラとピアノを弾き始め,常連のカップルを見つければ,
「ステファニー,今宵のドレスはまるでダリアのようだ。ステキなお二人の為に,
As time goes byを捧げます」とか日本語だと絶対に言えない恥ずかしい台詞を,
カクテル片手にしゃべり弾きし,皆さんの拍手を頂く,という日々が始まります。

尤も「ノリがいい」というか日本だととてもではないが「嘘臭く」てやってられない,
「カクテルピアノ」なぞも外人相手だと何だかマトモというか「楽しい演奏」をしてる感じがして,
始めて「ホテルピアノ弾き」もそう悪い仕事ではないな,と思い始めた訳です。

且つ,どうせならば上達したいと思い始め,それまで「ニューエイジ」系,つまりドビッシー風のピアノ奏法しか考えてなかったのを,「スゥイング・ジャズ」つまり「ショパン風」ピアノ奏法の修得にも情熱を傾けるようになりました。

ショパンなんて嫌いでしたが,これは,これでやり始めてるなかなか良い音楽なんですね。

つづく
愛情物語〜オリジナル・サウンドトラック盤

愛情物語〜オリジナル・サウンドトラック盤

  • アーティスト: カーメン・キャバレロ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
  • 発売日: 2002/05/02
  • メディア: CD



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大阪梅田レンタル・ピアノ練習室/動画撮影サービス¥300 [ピアノ]

大阪梅田にあるレンタル・グランドピアノ練習室「Kimball Piano Salon/Studio」では,
You-Tube対応の簡易動画撮影サービスを始めました。

対象はStudioご利用の方演奏や練習風景等を撮影し,15分内のYou-Tube動画として公開するか,30分内のMPEG4動画としてCD-Rにてお渡し致します。

料金は一律に¥300で,3月末迄はキャンペーン期間とし,料金が1200円以上の個人や合奏の方に限り,無料にて撮影〜公開(又はCD-Rによるお渡し)致します。

尚,撮影はAlesis社Video-trackによる簡易的なもので編集等は致しません。

動画や音質のクオリティを計るサンプルとしてKimball Piano Salon 音楽教室主宰者が,
レッスンの記録用に撮影したYou-tube動画をご案内します。

1, Jazz Vocal レッスン…主宰者/藤井によるボーカル・レッスン風景です。
           藤井はキーボード伴奏に合わせ,ピアノを弾きながら,
           ボーカルの指導をします。
           http://youtu.be/p4wrC1gESQs 

2, ラグタイム連弾…主宰者/藤井とチャールストン倶楽部のLilyさんによる連弾風景です。           http://youtu.be/YVJ5Bor2qDg

3,ラグタイムの練習…Lilyさんによるファッツ・ウォーラーの名曲の練習風景です。
           http://youtu.be/uAsgjqzmwxI


尚,You-tubeは「一般公開」と「限定公開」「非公開」のいずれかを選択できます。

又,Studioはお一人1時間600円で1970年代の米国Kimball グランドピアノが設置されています。
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米国製「キンボール」グランドピアノについて/大阪梅田のピアノ・スタジオ〜 [ピアノ]

昨日、僕が主宰する大阪梅田Kimball Piano Salonhttp://www016.upp.so-net.ne.jp/kimball「レンタル・ピアノ練習室」設置の「キンボールのグランドピアノ」について書いた後,生徒さんから「へぇー,レッスンで使ってるあの木目のグランドピアノには,そんな経緯があったんですか」と感想を言われました。(生徒さんに一々ピアノについて説明している訳ではないので)

且「近々,電子ピアノでなく生ピアノが置ける新居に移るので,今更ヤマハもないので,思い切って,私もキンボール・グランドピアノを買おうかしら」と相談を受けました。

「買おうかな」と言ってもピアノ屋さんには売ってるないのですよ,キンボールは。

米国でこそキンボールなぞ「最もありふれた家庭用ピアノ」に過ぎず,街の中古ピアノ屋さんにそこいら中に転がっている筈ですが,日本ではキンボールのグランドとなるとベーゼンドルファー・インペリアルより極僅な存在。

ならば「当方が親しいピアノ工房に頼んで,米国から適当な中古を輸入する」か,いっそ「スタジオに置いてある個体をお譲りしましょうかな?」なんて考えたりもしました。

但し問題が一つ。

現備品である「1973年製Kimball 170」グランドピアノは,響板等の構造自体は問題ないものの,
消耗品が全て交換期にあり,オーバーホールとなれば120万円位かかります。

と言っても本体代込で200〜250万円位でお譲りできるので,
その生徒さんからすれば,新品のヤマハやボストンと同じが少し高い位の価格なので,
「輸入ピアノ」としては格安とも言えます。

という訳で一人(二人で)キンボール・グランドピアノについて盛上がってましたので,
このブログでも様々な蘊蓄を御披露しましょう。

1, 1960〜70年代,米国キンボール社はウィーンのベーゼンドルファーを傘下に収める。

1960〜70年代,キンボール社はウィーンの名門ブランド;ベーゼンドルファーを傘下に収めました。
異論もありましょうが,僕はこの時代のベーゼンドルファーのフルコン(275)と何かと縁があり,
その全てがボロかった,というオチもありますが,それでも新型ベーゼンよりも良かったな,
という個人的想いでがあります。

ところでキンボール時代のベーゼンですが,それ迄,月産6台だったのが10台に「増産」されます。
それでも,詳しい数字は忘れましたが月産10台というのはスタインウェイの10%,ヤマハの1%位の少量生産ですが,ベーゼン的には何かしら「アメリカナイズ」された時期かも知れません。

面白いのは,この時期のキンボールはグランドピアノl 170や200において,なんと同型(170/200)のベーゼンドルファー設計をそのままコピー、しかしドーンと安物で作り売り出します。

マジメなんだかフザケてるのか分らない発想ですが,実は当方の170もこの時代の一台です。

お付合いのあるベーゼンドルファー技術者の話しでは,当時,ウィーンのベーゼンドルファー本社ショールームにも「本物のベーゼンドルファー」と並び「キンボール」が並べてあったそうですが,
はっきり言って評判は悪かったそうです。

キンボール社長は実はウィーン出身のアメリカ人で「ベーゼンが好きでたまらず」,
キンボールを設計変更したそうですが,ベーゼンの吟味された最高の材質や
見えない部分迄が美術工芸品のように造り込まれた上げたベーゼンのクオリティは追わず,
従前のキンボール特許のベニヤ合板や安い材質による大量生産の安物を作ります。

いわユニクロがロンドンの高級テーラーを買収し,40万円位するオーダー・スーツの型紙を使って19800円で売り出した,という所です。

キンボール社は19世紀から続くオルガンとピアノの歴史が長い安物ピアノのブランドですが,
経営母体は家具メーカーであり,1980年代頃迄は良質のベニヤが安価で使えたも強みでした。

ここで感心するのは型紙こそ使えどもキンボールには「ベーゼンドルファーの設計」とは銘打たず,
従来のキンボールピアノの新型として売り出されます。敬すれど近づけずという事でしょう。

この点でスタインウェイとは構造が全く異なるにも関わらず「スタインウェイ設計」と銘打たれる「ボストン」や,筈かしげもなく「ベヒシュタイン・アカデミー」と名乗らせるベヒシュタインとは大違いです。

尚,ボストンやベヒシュタイン・アカデミーを擁護すれば,確かに「本物」のスタンウェイやベヒシュタインとは別物ですが,ヤマハ=カワイ等「B級クラスのピアノの一つ」とで考えれば,なかなか良いピアノです。

アカデミーは殆ど弾いた事がありませんが,僕の知る限り,ボストンのベビー・グランドは,
「下手なスタインウェイ」みたない音とタッチで「国産を買うならこれだ!」と感心しました。

部材や工作はカワイと同等,設計はスタインウェイと全く異なるのに,不思議と「スタインウェイ的な音やタッチ」がするのは,なるほどスタインウェイが噛んでるせいかも知れません。

つまりスタインウェイが「和牛高級ステーキ・ハウス」だとすれば,「1万円以上するステーキを1000円で売る」事は不可能なので,良い肉のクズを使いハンバーガーを作り,スタバのような簡易な立ち飲みカフェで売り出した,という所でしょうか。

つまり「ステーキ」ではないが,何とはなしに「あのステーキハウスの雰囲気」を持つハンバーガーが楽しめるという所でしょう。

それに対しキンボールは「1万円のステーキ」を無理としつつ「そこそこの輸入肉で,食材は落とすがソースのレシピは同じ,付け合わせや店内は可能な限り安くし,1000円としては結構美味しいステーキ」を展開するチェーン店を作った,という所でしょう。

対してヤマハやカワイ等の国産ブランドはいわばファミレス。
キンボールがいわば「1000円ステーキ・チェーン」の如く,ステーキそのものはギリギリのラインは維持し,その分,付け合せや店内の雰囲気等は切り捨てたのに対し,国産は全てが小綺麗。

そういえばファミレスなんて嫌いですが,実際には打合せや家族連れでクルマで乗り付ければ,珈琲迄飲めて結構ゆったりできるので,実際には利用してしまう的便利さがある訳です。

その分,全てが安請合いで,食材は得体が知れず,大量の調味料で食べさせてしまう訳で,
「味(音)」と「安全(情操)」に拘らなければ,文句もない,という所です。

変な例えになりましたが「ベーゼンドルファーの型紙をコピーしたキンボール」は,
しかし全てを安物にした訳でなく,木製ボディについては「1000円ステーキ」同様に,
食べて美味しいな,と思えるギリギリの範囲の素材で作る,と共に,ベーゼンドルファー同様に
「シュワンダー社製アクション」で「ウィーン式アクション」も何とか再現します。

かと言って,それを売り物にした訳ではなく単に「性能がよくなってキンボールの新型」としての,
マジメな商売を進めます。

ちなみに同時代,ヤマハ社はスタインウェイ社に対し「米国のスタインウェイ販売店でヤマハを売ってくれ」との営業提携を何度も申込みます。

「こんなに,そっくりコピーしましたから,スタインウェイみたいでしょ」的な話しだったそうですが,スタインウェイ社から一笑されてしまいます。

「ヤマハの出来が悪いから」ではなく,そもそも何の関係もない外部の会社から
「オタクの商品をコピーし,低価格で結構良いものができたから,本物と並べて売ってくれ」という発想そのものが欧米人には理解できません。

尤も最近では,中国のメーカーが,ホンダの人気車をそっくりコピーし販売し,ホンダ社と裁判沙汰になっているそうですが,いわば「ホンダのニセモノ」をホンダ社に対し「横に並べて売ってくれ」と言ってくるようなものなのです。

しかし「何故,悪いのか?恥ずかしいのか?」が中国人にも中国当局にも通じず,ホンダ社は苦労しているそうですが,何の事はない,昔はホンダこそヨーロッパ車の意匠を筈かしげもなくコピーし,国内や米国で売りまくった,という現在の中国メーカーの先陣な訳で,人の事は言えませんね。

同様に「ニセモノを作ったから売ってくれ」とヤマハから言われたスタンウェイはさぞや驚いた事でしょう。米国ではスタンウェイをAクラスとして,Bクラスのボルドウィンやメーソン・アンド・ハムリン(昔はAクラス),Cクラスのキンボールやエオリア等がありますが,夫々が独自の道を歩み,なるほどフルコンはスタインウェイだが,セミコンならぱメーソン,家庭用アップライトならはボルドウィンという風に住み分け,各々スタインウェイと全く異なる設計で「独自の音色とタッチ」を持ちます。

いわばスタインウェイが「和牛ステーキ」だとすれば,他はハンバーガーだったりウドンやカレーだったり,あるいき独自の「スペアリブ・ステーキ」だったり訳。
まかり間違ってもクズ肉を接着剤で固め,合成調味料でそれらしい味付けにするという事はしません。

そういう観点で考えれば,キンボールは「資本傘下とはいえ,ベーゼンをコピーしてしまった」というのは結構ハズカシいだと思います。
かと言ってベーゼンの技術者達にキンボール・クラスのピアノを設計しろ,と言っても無理で,
むしろキンボール独自のノウハウの方が上だったのでしょう。或は型紙をコピーしただけでは,
ちゃんとしたピアノにはならない筈なので,それをピアノとして完成させてしまった,というのも,
恐らくベーゼン社とキンボール社の共同事業だったのでしょう。

そういう意味では「マジメに取組んだ」ピアノ製造だったかも知れません。

2, ベーゼンドルファーの部品でキンボールをオーバーホールする?

前述の如く現在使っているキンボール・グランドピアノをオーバーホールをするとなれば,
100万円以上の費用がかかります。その際,オーバーホールには二通りの発想があり,一つが
ある工房で請け負って下さるそうですが,他の部分の経年変化(劣化)も踏まえ,
部品自体を国産で手作りし,バランスを取りながら完成させる,という方法。

もう一方がベーゼンの技術者の方が冗談だか本気だかで言って下さったのですが,
その年代のキンボールはベーゼンをそのままコピーした関係で,「本物のベーゼン」用の部材が,
きっちりと適合するので,いっそベーゼン部材を取付ける,という発想。

勿論,弦やハンマーをベーゼン用に替えたとて「ベーゼンの音がする」訳では全くありませんが,「ベーゼン度(?)」が上がるのと,元々,キンボールは響板等はそこそこ頑張ったにしろ,
その分,消耗部材は安物が使われているので,それを上質な物に変える事で,
総体としてグレードアップする事は確か。

且つ,キンボールといえど,なるほど材質はまるで違いますが,設計が同じで,
ベーゼン同様に「シュワンダー・アクション」を用いているが故か,
弾いていると,スタインウェイやベヒシュタインとも,或はヤマハやカワイとも全く異なる,
やはり「ベーゼンに似た音の出方」があり,何かしら「ベーゼン」を感じてしまう事です。

ちなみに1980年代以後のベーゼンドルファーは「レンナー・ハンマー」であり,
スタインウェイ的な「ダブル・アクション」が用いられていますが,'70年代迄は
「シュワンダー」による「シングル・アクション」仕様となります。

現在はベーゼンに限らずベヒシュタインも「ダブル・アクション」ですが,
やはりベーゼンやベヒシュタインは「シングル・アクション」の方が合っていたと僕は感じています。

但し,ベーゼンにしろベヒシュタインにしろ,「シングル・アクション」時代のは正にヤマハの真反対のピアノ奏法が要求され,弱い指では鳴らず,かと言って叩いても駄目,速弾きすると音がバラけ…となかなか弾き難いのですが,ちゃんと弾けると「凄く繊細に音色を弾き分けれる」利点があります。

別に「弾き難いから良い」という事はありませんが,「シングル・アクション」のベーゼンやベヒシュタインで日頃練習しておくと,いざ「ダブル・アクション」のスタインウェイやベーゼン/ベヒを弾いても全然「楽勝」。逆に「ダブル・アクション」が優れる部分もありますが,僕個人はベーゼンに関しては現代のものより1970年代以前の「シングル・アクション」ものが好きです。

それで当キンボールは現代のベーゼンと比較すると「何も似た所がない」と言えますが,
昔のベーゼンと比べると「何となく似ているなぁ」と感じさせます。

これは人に奨めれる話しではありませんが,「将来ベーゼンドルファーを欲しいなぁ」と願う人の場合,幾らヤマハで練習しても「ベーゼンをコントロールできる指」が作れないに対し,
案外,キンボールだと「いざベーゼンを与えられても何とか弾きこなせる」指が作れるかも知れない,と思わせるものがあります。

日頃,ヤマハやカワイで練習していると,いざスタインウェイやベーゼンを弾いてもヤマハやカワイみたいな音になりますが,キンボール,特に「ベーゼンドルファーの部品でオーバーホールしたキンボール」で練習していると,何かしらベーゼンを引き出せる可能性は上記に比べれば大かと思います。

勿論,ベーゼン部品を幾ら使っても「キンボールの音」しか出ませんし,200万円でキンボールを購入よりは,本物の中古ベーゼンを購入する資金として貯金した方が妥当とも思いますが,僕もちょっと「ベーゼン部材でオーバーホールしたキンボール」には関心大です。
Studioの風景.png

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大阪梅田の「レンタル・ピアノ練習室」に設置の米国Kimballグランドピアノについて [ピアノ]

皆さん,こんにちわ。

僕が主宰する大阪/梅田にある「キンボール・ピアノ・サロン「レンタル・グランドピアノ練習室」設置してある米国製グランドピアノ「Kimball 170」について改めて紹介させて頂きます。

http://www016.upp.so-net.ne.jp/kimball

ご利用後の感想として「へぇー珍しいピアノですねぇ。どこのピアノですか?」等のご質問や
「すごく良い音してますね!国産とは全然違う!」というお褒めの言葉(もしくはお世辞)を
多々頂くからです。

勿論,お褒め頂ければ嬉しいのですが,正直言って「Kimball」は米国ではごく普通のブランドであり,全然大したピアノではないんですよ。

とはいえ「練習室」にKimball を設置し三年になりますが,日々,音が成長している感じで,
自分でいうのも何ですが「最近は音がなかなか良くなったなぁ」と感じます。

実は時々ピアノを入れ替えますが,現在のは1970年代に製造された木目の小型グランドです。

前述の如く,Kimball は高級ではない(と言っても1970年代当時の輸入価格はヤマハの倍くらいしたそうですが)、米国では日本のヤマハやカワイに相当する家庭用ブランドです。

僕が敢えてヤマハでもスタインウェイでもなくキンボールを設置したのは,それなりの考えがあっての事です(「ウソつけ!たまたまあったから置いだけ」ではないんか?との内部告発あり…汗)

「一時間お一人様六百円」という低料金を維持する為に,いくらなんでもスタインウェイやベーゼンドルファー級のブランドは設置できませんでした。

尤も「レンタル業務」を考えていなかった設立当初は1970年代製のハンブルグ・スタインウェイの中型グランドA(C5相当)」を設置する予定で,防音室の寸法を決めた程ですが,諸事情によりスタインウェイは中止…。

代わりに国産の「Diapasonの183E」という今よりは一回り大きいグランドピアノをいれました。

ヤマハでなくディアバソンにしたのは僕の好みです。

ディアパソン183Eは中古でよく出回るタイプですが,10万円以上かけて「名人調律師」徹底的に調整して貰うと実に弾き易い良いピアノになりました。

ちなみに183Eはディアパソン・グランド中で最も出回る型だそうですが,これ以後のは「本来のディアパソンではなくなっている=(カワイ色が強くなり過ぎた)」のと,逆に以前のは元の台数が少ないのと,古過ぎてオーバーホールが必要なので結局高価になり(新品と同額以上)に付き,市場には出回りません。

内情を明かすと「業界から暗殺(笑)」されかねませんが(既に「指名手配済みらしいですが…笑),
183の後ろにつくアルファベットの古い順にABCDE…と続き,Eが「最後のディアパソン」として指名買いされるらしいですが,実はDとかEとかは「大量生産=コストダウン」が進んだ,結構「プラスチッキーな音」のピアノなのです。

僕は下手クソですが「鍵盤ハーモニカ」を吹き,スタジオにもスズキのproメロディオンが転がっています。敢えて言えばヤマハの「ピアニカ」は「ヤマハっぽい音」がするし,スズキは敢えて言えばDiapason的な「太い音」がします。

それでメロディオンとディアパソンとで合奏を楽しんでいましたが,ピアノがKimballに変わると,どうにもメロディオンが「プラスチッキーな音」に感じられ,吹く気が失せました。

鍵盤ハーモニカは正に「プラスチックのボディ」を持ち,「プラスチックな音」がして当然なのですが,国産ピアノとならば違和感無く合奏できたのは,やはり国産ピアノが「プラスチッキーな音」なのでしょう。

かと言って183Eと同年代のヤマハG3グランドピアノについては,183Eと比較すれば「ブリキのバケツをぶっ叩いたような音」でフィールのないタッチとで,僕は圧倒的に「ディアパソン」派でした。

Kimball から話しが脱線しますが,ディアパソンに関しては,家庭用の183Eに関しては「ヤマハよりは音が深いが,輸入ものとは比較できないプラスチッキーな音」という印象でしたが,同じ時代の一クラス上の210E(セミコン)は寸法も大きいですが,別物といって良い位に国産として深い音を持ちました。

褒めてるのか貶してるのかは分りませんが,ベヒシュタインの150センチ台のベビーグランドピアノを弾いた時「おぉ,ディアパソン210みたいな音とタッチがする!」と驚きましたが,僕としては国産ではピカイチ的存在がディアパソン210Eでした。

これも時効だから明かしますが,210Eが現役である1980年代の半ば,僕はあるホールで演奏する事になり,備え付けのヤマハのフルコンであるCF(確かCFⅡ)の「缶詰を叩いたような音」と「威張り腐ったホール所属の調律師」にブチ切れ,ディァパソン(カワイ)にお願いし210Eを貸し出して貰いホールに入れました。

その時に僕の演奏を録音した人の話しでは,CFは270センチもある「フルコン」だが,音が「キャンキャン」しているから一見鳴っているようで,録音メーターの音圧が上がらず,セミコンに過ぎない210Eは柔らかい音だが,しっかりメーターの音圧が上がり驚いたとの事でした。

(尤も翌年は,そのCFの音が落ち着いたのと,何故か調律師さんの愛想よくなり,こちらも面倒になったので,そのCFを結構気にいって弾きましたが…。

ちなみに1990年代のCFⅢ(だったかⅢS)の完璧に調整してあったのを弾かせて貰い,タッチ,ペタルと共に「驚嘆すべき良さ!」に僕はすっかり参ってしまうのですが…)

ディアパソン・グランドピアノについては,実は何台か所有しましたが,同じ183でもBだったかCについては,もう「全然別世界の音」,或はA以前,つまりハンドメイドで創られたオリジナルの170については「下手なベヒシュタインをしのぐ!」と驚嘆しました。

尤もオールド物のディアパソンに出会うのは後年の話しですが,183E現役当時は,ヤマハのG3やC3よりは「好みに合う」にせよ「どうも輸入ピアノとは世界が違うなぁ」という気持ちでした。

当時,僕には結構親切,且,良心的に接してし下さるが,素人さんには,とんでもないピアノを売りつけるある販売店があり,僕は出入りしていました。その店(会社)は米国のボルドウィンというピアノの輸入代理店でもあり,僕は色々と弾かせて貰いました。

当時の僕は「米国ピアノ=ホンキートンク」みたいなイメージがあり,ボルドウィンにも偏見がありました。むしろ「ディアパソン最高!」と思ってた訳で。

実は僕が「インターナショナルなリズム感やハーモニー感の習得」に向かうのは30才前後からの話しで,当時は例えば「クラシックのピアノ教本は,音大教授も使われている白い表紙のシリーズを使う」という「和製クラシック」のピアノ弾きの一人でした。

故に「ピアノの良し悪し」を判断する耳も指も持合わせておらず,ボルドウィンに関しても,そもそも鍵盤が波打っている(高さが揃ってない)のを見て「駄目だ!」と一笑しました。

それでも,これは今でもそうですが,あらゆるピアノを弾きたい,という好奇心があったのと,当時,20代半ばの僕は「場末の酒場のピアノ弾き」としては結構「売れっ子(?)」で色々な「ジャズ(風)ボーカル」のオネェさん方と毎晩のようにカクテル片手に,今で言う「ストライドピアノ」の真似事をして稼いでいました。

自分では,映画「カサブランカ」に出て来るピアニストのような雰囲気で演奏し,ハンフリー・ボカードのような格好をしたくて,当時としてはステイタス性があった「エーボンハウス」という国産英国調のスーツを着込み,サスペンダーで吊るしたズボンに,ラルフ・ローレンだかの幅広ネクタイをなびかせ,自分では「いけてる」つもりで,インチキ臭い「場末のピアノ」稼業に精を出していた訳です。
(尤も,それ以外の時間は只管に勉強と練習,シンセサイザーによる多重録音制作に励んでいましたが)

当時,定期的に演奏していた或る高級バーにカワイのアップライトピアノがあり,それが格好は良いが,どうも音が硬くて弾き難く,「確かピアノ屋にあった同じ様な方のボルドウィンは大分良かったぞ」と思い,早速,改めてボルドウィンを弾きにいきました。

実は当時はカワイとボルドウィンは何らかの提携関係があったとか何とかの噂を聞きましたが,外見はよく似た家具調のスピネットピアノなのですが,実際に弾き比べると「本物のボルドウィン」の何とも弾き易い事。

酒場やレストランでよく弾いていた「As time goes by」の左手10度がとても弾き易いのと,
右手のメロディーが歌わせ易くて「あのバーにもこんなピアノがあればいいな!」と思いました。

とはいうものの「ホンキートンク風のピアノだから,この手のカクテルピアノ演奏が合うのは当然かん」,それ故「クラシックは合わないだろう」と思ってた訳です。

僕のピアノを聴いて店の人が「いいねぇ。酒でも飲みたくなるねぇ」なんていいつつ「好きなだけ弾いていいよ」と許可を得た事もあり,楽譜を持ち「ショパンのワルツ」を弾いてみました。

これは,あっけなく良くて「合格」。

とはいうもののラグタイム・ジャズとショパンは似通った部分もあり,これが弾けたといってもクラシック全般が合うとは限らない,と思い「バッハの平均律」を弾くと,これも全然良いのです。

実は最近はあまり弾きませんが「平均律」は18歳位から25年位毎日弾いてましたが,当時も結構綿密に勉強しており,例えば「一番/ハ長調」の転調具合なぞも暗記しており,微妙に調が変わる感じを表現しようと四苦八苦していたのがボルドウィンではあっさりと表現できたのです。

バッハ平均律プレリュードというはグノーが「アベマリア」の伴奏にそのまま転用しましたが,
なるほど国産ピアノだと転用したくなる,というか,何だか平板な音楽に聴こえるのです。

ところがボルドウィンで弾くと,見えてなかった抑揚が見え,呼吸も感じられ,これだけで充分。
ちなみに今見ると,バッハ自体のフレージングとグノーが後付けした旋律の流れは合致しておらず,
いわば「ちゃんと伊勢エビのお刺身にケチャップをかけて食べている」ような案配で,
グノーのB級度を証明してしまいます。

話しを戻しますと,ショパンやバッハは良かったが「流石にこれは駄目だろう」思えた「モーツァルトのソナタ」をボルドウィンで弾きますと,これ又,全然弾き易いではないですか!

一体これはどうなってるのだ!

当時,学校のヤマハや自宅のディアパソン等の国産ピアノ以外に弾くとすれば,ホールにあったスタインウェイのフルコンか時々弾かせて貰ったドイツのグロトアン(スタインヴィッヒ)位のものですが,
なるほどスタインウェイやグロトリアンは良いが,まさか米国の「ホンキートンク」風のアップライトが,ディアパソンのグランドピアノより良いとは思ってなかったので,凄く衝撃を受けました。

だから,もしお金が貯まったらディアパソンのグランドピアノはそのままとし,横に並べてボルドウィンのアップライトを買おうと思ってました。確か当時70万円位で買えた筈ですが…。

何故,国産グランドピアノより米国アップライトの方が音が良かったかのか考えますと,
結局,国産が「硬い合板とプラスチック」でできたに対し,ペニヤだったかも知れませんが,
合板と木材と良質な鉄骨を使ったボルドウィンが使っていたが故でしょう。

或は根本的な「持って生まれた音楽性」が違ったのか。

とにかく以来,すっかり米国ピアノに関心を持ち始めたのですが,結局,ボルドウィンのアップライトは買わずじまい。

これも脱線した話しになりますが,1980年代半ば頃から僕は「酒場のピアノ弾き」稼業や,楽器店の音楽講師業に見切りを付け,ある音楽スタジオに転職します。且,ピアノ以上にデジタル・シンセサイザーやMIDIにのめり込み,ある期間,殆どピアノ自体を弾かなくなります。

ボルドウィンのアップライトが70万円と言ってましたが,ある時期は毎月30万円位器材を買込み,バブル到来に乗ったとはいえ,今にして思えば100万円単位の器材を消費した訳で,これをやらなければボルドウィンのアップライトなぞ何台も買えたな,とえらく損した気持ちになります。

とはいえマッキントッシュコンビューターで制御する10台以上もあるシンセサイザーや音源モジュールによる,一々パソコンやミキサーを立ち上げないと音一つでない大掛かりなシステムや,部屋中に配線が這い回る様子が時期からどうにも面倒に思え,遂に爆発し「やっぱピアノに戻ろう!」と決意しました。

結局,ライブ用のENSONIQ KS32と,ヤマハ PF-P100という据え置き型デジタルピアノ他のみを残し他は処分,更にはシーケンサーの使用も面倒になり「シンプル・イズ・ベスト!」とヤマハの自動伴奏機能付きクラビノーバ CVP87やKORG i2というキーボードに集約。

ENSONIQはベーゼンドルファーを真似したデジタルピアノだったせいか,ショールームで弾かせて貰ったベーゼンドルファーがとても良く思え始めたのがこの頃です。

当時は「ピアノとストリングによるニュー・エイジ(ヒーリング)・ミュージック」が僕のスタイルでしたが,ヤマハピアノとヤマハシンセサイザーによる組合わせが良くて,家庭用のCVPやPSRキーボード(ボータートーン)なぞも使い始める始末。

その内,あるご縁でお隣の台湾に移住,というかバカンスに出かけた所,レコード会社や現地のヤマハから仕事を頂き,ずるずると生活開始。

1990年代初頭の台湾での南国生活で見ると,日本では何とも思わなかったヤマハやトヨタ,ソニーや資生堂等の日本メーカーものがとてもが良く思えました。

というか例えばトヨタ車が高くて,日本では高かったルノーやフイアット等のイタリアのフランス車が安く,ピアノについてはヤマハが高くて米軍のお流れのキンボールやボルドウィン等が米国ピアノが安かった訳です。

結局,朝はヤマハで教え,昼はスタジオかオフィスの仕事をこなし,夜はホテルでピアノを弾くか,クラブ(ディスコ)でキーボードを弾く,という現在に至る生活パターンが始まる訳ですが,暇があれば楽器屋めぐりをしました。

日本にはない変な楽器や,日本ならば値打ちものの凄い楽器が価値が認められず放置してあるなんと事が多々あり面白かったからです。

とにかく,やたらキンボールのピアノがあり,しかも調律なぞせず,ガタガタのまま放置してある,というのが普通でしたが,弾いていると案外楽しい,というか,レンタルで貸して貰ったヤマハ・グランドピアノより案外に音楽的に感じられたのです。

且,契約していたスタジオには古いベーゼンドルファーのフルコンがあり自由に使わせて貰いました。

僕は未だにビンボーですが,ピアノには恵まれていて,日本にいた時分からスタインウェイやベヒシュタインの大きなグランドピアノで練習させて貰っていましたが,ベーゼンドルファーはあまり新大阪のショールームで触らせて貰う程度でした。

ところが,そのスタジオにあったベーゼンは日本で見たのとどうも違う感じ。
タッチも音色もまるで異なるのです。

これは後から分ったのですが1970年代頃迄のベーゼンとそれ以後ではアクション・メカニズムがまるで変わってしまい,ボディの塗装等も相当変わっていたのです。台湾にあったのは1970年代頃の古いタイプで「シングル・アクション(ウィーン・アクション)」でボディが薄いイメージの古いタイプ。

僕はどういう訳か,この旧型のベーゼンのフルコン(275)に縁があり,帰国後もしばしば弾く機会に恵まれましたが,この「シングル・アクション」タイプのはおよそ弾き難いピアノでした。

それでも毎日弾いてる内に段々なじみ,むしろ現代の「ダブル・アクション」を積むベーゼンより良く思え始めました。

かと言って,おいそれと自分用にオールド・ベーゼンドルファーを買込む,という訳にもいきませんが,そういえば60〜70年代は米国キンボール社がベーゼンドルファー社を傘下に収めていたから,もしかして自分の練習用にキンボールを手にいれればどうか,と考えたのです。

勿論,ベーゼンドルファーとキンボールとでは「絹と麺」「鱧の刺身とハンバーガー」位に違います。
そういわれれば,後年,日本ベーゼンドルファー社にキンボール・グランドの修繕をお願いした時,
たまたま預かりであったヤマハ・グランドピアノG2に比べ,キンボールがいかに駄目か,を言われてしまった記憶があります。

ところがベーゼンのトップ技術者であるK氏はキンボールを分解しつつ,例えばベーゼンと同じ「シュワンダー(ウィーン)アクション」が用いられている事,設計的に同じ(というか,そのままコピーした)事を指摘し,「国際とは本質的に違う」事を他の方に説明して下さいました。

(かと言って,ベーゼンとキンボールはまるで異なるピアノですが)。

1990年代終わりから日本生活の再開,2000年から現住所での「スタジオ&サロン」開き,2005年からの「キンボールピアノ」の導入をもって新体制となりました。

キンボールを選んだのは,僕個人的想いでとしては「米国生活」ではなく,台湾での「南国生活」を思いだすとともに,ヤマハとはマッ反対の価値観でできたピアノとしての「魅力」にひかれてのです。

勿論,ベーゼンドルファーを引合に出して云々するピアノではありませんが,安物なりに,木材と鉄骨の音がし,結構,タッチも繊細。

ハノンを弾いても今イチ生えませんが,バッハやモーツァルト,ショーベル等のはなかなか良く,ジャズもやはり良い,といのうが,このピアノ。

一時間600円で。宜しければお使い下さい!

ご利用はホームページへアクセス下さい。
キンボールグランド.jpg





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大阪梅田のレンタル「ピアノ練習室」設置の米国グランドピアノKimball 170のご紹介 [ピアノ]

皆さん,こんにちわ。

僕が主宰する大阪/梅田にある「キンボール・ピアノ・サロン」の「レンタル・グランドピアノ練習室」設置してある米国製グランドピアノ:Kimball 170について改めて紹介させて頂きます。

Kimball Piano Salon http://www016.upp.so-net.ne.jp/kimball

というのもご利用後の感想として「へぇー珍しいピアノですねぇ。どこのピアノですか?」等のご質問や「すごく良い音してますね!国産とは全然違う!」というお褒めの言葉(もしくはお世辞)を多々頂くからです。

勿論,お褒め頂ければ嬉しい事は嬉しいのですが,正直言って,そう大したピアノではないんですよ,Kimballは。ましてや「小型グランド」。

とはいえ,「練習室」のをこれに変えて三年になりますが,日々,音が成長しており,自分でいうのも何ですが「最近はなかなか音がよくなったなぁ」と思います。

実は時々ピアノを入れ替えますが,現在のは1970年代に製造された木目の小型グランドです。

前述の如く,高級ではない(と言っても輸入当時はヤマハの倍くらいの価格がしたそうですが)、
米国では日本のヤマハやカワイに相当する家庭用ブランドです。

ただ僕が敢えてヤマハでもスタインウェイでもなくキンボールを設置したのは,それなりの考えがあっての事です(ウソつけ!たまたまあったから置いたでけではないんか?との声もありまずが…。)

先ず「一時間お一人様六百円」という低料金を維持する為に,いくらなんでもスタインウェイやベーゼンドルファー級のブランドは設置できませんでした。

とはいうものの,今だから明かしますが(笑),設立当初はハンブルグ・スタインウェイのA(C5相当)というグランドピアノを設置する予定でした。そのつもりで防音室の寸法を決めたのですが,諸事情により中止になり,Diapasonの183Eという今よりは一回り大きい国産グランドをいれました。

ヤマハでなくディアバソンにしたのは単に僕の好みですね。

ディアパソンも国産としては悪くないし,183Eというのも中古でよく出回るタイプで,実はこれ以後のは「本来のディアパソン」ではなくなっているし,それ以前のは,そもそも台数が少ないのと,古過ぎてオーバーホールが必要なので結局高く付き,市場性がない,という代物になります。

とはいえ,あまり明かすと「業界から暗殺(笑)」されかねませんが(既に結構「指名手配済み?笑),ABCDEと歴代続くうち,DとかEとかは「大量生産&コストダウン」による「プラスチッキーな音」しか出せない,あまり良いものとはいえない楽器なのです。

それでも同時代のヤマハG3が,もう「ブリキのバケツをぶっ叩いた」ようなどう仕様もない音と「パソコンのキーボードと大して違わない平板なタッチ」しか出ない事から相対的なディアパソン183Eが「名器」然とする訳です。
(ちなみに今時のは,どっちもどっちですが…。)

尚,183Eに関しては「まぁ悪くはないなぁ」位の印象しかありませんが,同じ時代の一クラス上の210E(セミコン)に関しては,これは単に寸法が大きいだけでなく,別物といって構わないくらいに国産としてピカイチな楽器でした。

これは最近の話しでなく,未だ210Eが現役当時である1980年代の半ばの話しですが,僕はあるホールで演奏する事になり,備え付けのまっさらのヤマハのフルコンであるCF(確かⅡ)のキャンキャンした音と威張り腐ったメーカー派遣の調律師にカチンときて,ディァパソン(カワイ)にお願いして210Eをホールに貸し出して貰いました。

その時に録音担当したヒトの話しでは,CFはフルコンで,キャンキャンした音から一見鳴っているようで,メーターの音圧が上がらず,210Eは一見柔らかい音だが,しっかりメーターの音圧が上がり驚いたとの事でした。
(尤も翌年の演奏の際には,同じCFの音が落ち着いたのと,皆が文句を言ったらしく調律さんが愛想よくなったのと,こちらも面倒になったので,そのピアノを結構気にいって弾きましたが。
尚,個人的には,その数年後のCFⅢ(だったかⅢS)には,タッチレスポンスといいペタリングといい「舌を巻いた?すっかり気に入った」僕でした。)

とはいえ,どうも「国産はアカンなぁ」というのが正直な気持ちだったのです。

当時,K楽器という,僕みたないウルサい人には結構親切にして下さるが,素人さんには,とんでもないパッチものピアノを売りつける販売店があり,時々,出入りしていましたが,そこが輸入代理店となる米国のボルドウィンというブランドのアップライトピアノに出会いました。

当時の僕はスタインウェイは別として米国ピアノには偏見があり,特に「ホンキートンク」みたいなボルドウィンには強い偏見?つまりは「好きでない」?がありました。

今から思えば,まだ「インターナショナル」なリズム感やハーモニー感を習得する前の「和製ピアノ弾き」の指しか持合わせてなかった20代半ばの僕な訳で,人様の楽器の事をどうこう言えた立場ではないのですが,それでも試し弾して驚嘆した記憶があります。

当時の僕は,安いレートでは「売れっ子(?)」の「ジャズボーカルの伴奏ピアノ弾き」として,毎晩,方々で演奏していましたが,仕事上の必要性から,今で言う「ストライド奏法」の真似事をしていました。映画「カサブランカ」に出て来るピアニストのような音楽を弾く訳ですね。

そういえば当時,ちょっとしたステイタス性があった「エーボンハウス」という国産英国風の紳士服のスーツを着込み,ベルトでなくサスペンダーでズボンを吊るしたスタイルにラルフ・ローレンだかの幅広ネクタイで,今から思えば何とも「場末のピアノ弾き」そのもののスタイルでカクテル片手に「ラウンジピアノ」を弾いて稼いでいた日々でした。

あるバーでカワイのアップライトがあり,それがよくある縦型でなく,ボルドウィン風というか,家具調のスピネット型でして,綺麗なボーカルのオネェさんの歌に併せてピアノを弾く分には,なんとも雰囲気は宜しいのですが,どうも「音が硬くて」演奏に苦労した記憶があります。

それに比べて「本物のボルドウィン」の弾き易い事。

当時,コピーした弾いていた「As time goes by」の左手10度がとても弾き易いので,あのバーにもこんなピアノがあればいいな,と思いました。

但し,「ホンキートンクなピアノだから,こういうカクテルピアノ音楽が合うのだろう」位の認識しかありませんでした。だから「まさかクラシックは合わないだろう」と思ってた訳です。

とはいえ「好きなだけ弾いていいよ」と知り合いのk楽器の人から言われた事もあり,楽譜を持ち込んでボルドウィンを弾いたみたのですが,最初「クラシックだが,これならば合うだろう」と思ったショパンのワルツ等はなるほど「合格」。

では,これはどうだ?と思った「バッハの平均律」も「えっ,なかなかええやんか」。

しかし,これは駄目だろう,と思った「モーツァルトのソナタ」も全然弾き易い!

一体これはどうなってるのだ!

当時,自宅で使っていたディアパソンの183Eグランドピアノをはるかに上回る深い音と敏感なタッチを小さく,一見,ホンキートンク風のボルドウィン・アップライトが具現してみせてくれた訳です。

今にして思えば,当然といえば当然。国産としては良質といえ「硬い合板とプラスチック」でできた国産に対しペニやの合板も使うが本物木もふんだんに使い,鉄骨の質もまるで違うば,根本的な設計がまるで違う「本物のピアノ」であるボルドウィンは,アップライトといえばはるかに勝った訳です。

ちなみにボルドウィンの調整は至難の業ですが,これを長じた某有名調律師によるボルドウィン・アップライトは別物ものように整った音と敏捷なタッチで,よほどヤマハに凝り固まった人以外は,ジャンルを問わず絶賛する筈です。(尚,現在のボルドウィンは中国製であり,当時のものとは別なピアノと考えて下さい。)

そんな訳で国産と大して違わない価格で手に入る「米国ピアノ」にすっかり参ってしまった僕ですが,その後,ピアノから離れ,シンセサイザー関係の音楽に没頭する事になった僕は,そもそもピアノ自体を殆ど弾かない年月を持ちます。

それでピアノはあまり弾かなかったものの,バブル時代を迎えたせいか,毎月30万円位楽器を買ったりしてたのですが,結局,米国のENSONIQとかE-muというブランドのシンセサイザーに落ち着く訳です。とはいうものの,マッキントッシュ・コンピューターで制御した10台くらいのシンセサイザーや音源モジュールの類いが,ある時期からどうにも面倒に思えてきはじめました。

それで,ある時期,爆発した,というか「やっぱピアノに戻ろう!」と決意する訳です。
といってもENSONIQ KS32という過般式のと,ヤマハ PF-P100というデジタルピアノがメインでしたが。そういえば「シンプル・イズ・ベスト!」と思ってヤマハ・クラビノーバ CVPという自動伴奏ピアノを使い始めたのも,この時期でした。

当時,PF-P 100というヤマハのプロ用デジタルピアノをすっかり気にいってましたが,案外,ヤマハCFⅢ(だったかⅢS)というフルコンサート(勿論,自分では持つていませんが)も気にいってました。

但し,怖々と弾かせて貰ったベーゼンドルファーが更に良かった。

その頃にはキーボードやピアノ弾きとして,ある程度の事が見え始めていた訳で,ベーゼンに対しても別に音がいい,とかの感覚ではなく,タッチレスポンや,皆,あまり言わないけれどもペタルのレスポンスや音色コントロールのし易さが,もうどう仕様もなく良くて,すっかり気にいりました。

それも一番大きな「インペリアル」というコンサートグランドが。勿論,所有していた訳でなく,ショールームで弾かせて貰っただけですが…。(ちなみにショールームが閉鎖される一年位前から,時々,用事で訪れましたが,久々に弾くベーゼンは全然良くなくて,なんだこれは,と思ってたら,技術者が変わった,との事でした。)






ちなみに、当時はウィーンのベーゼンドルファー社を傘下に収め、同じくウィーン人であるキンボール社社長の趣味というか考えで、なんとベーゼンの設計をそのままコピーしてしまい、勿論、材質は比較にならない程落ちますが、何とはなしに「ベーゼンぽい(?)」ピアノと言えなくもない方向が実現しています。

実際、今はなくなってしまったシュワンダー社のウィンナー・アクションが使われ(但し、ベーゼンに比べるとグーンと安価なものですが)、「ウィーン式タッチ」が味わえます。

ちなみに、当時のベーゼンやコピーしたこのキンボールは、シュワンダー式の「シングル・エスケープメント」のアクションで、今の「ダブル・エスケープメント」式と比べると、弾き難いとも言えるし、アフタータッチのコントロールが要求される反面、自在に音色を作れるとも言えます。

僕個人としては、現在(1980年代以後)のベーゼンは、なるほど音色はベーゼンなのですが、タッチがスタインウェイ的な訳で「速弾き」にはよいものの、ベーゼン本来の持ち味という点では、以前のシュワンダー式の方が好みに合います。

これも蛇足ですが、このキンボール製造当時の、コピーされた本物のベーゼン170の中古があり、これは欲しいな、と思ったのですが、金策等でモタモタしてる間に他の人に買われてしまいました。
今からすると、「本物のベーゼン」「それをコピーしたキンボール」と二台並べると、面白いというか、何かと便利だったろうな、と思いますが…。

何度もお断りしますが、あくまでキンボールはキンボール(=米国の普及品)であってベーゼン(ウィーンのAクラス)とは全く異なりますが、多分、国産グランドで練習してから本番でベーゼンを弾くよりは、このキンボールで慣れてからベーゼンに向かう方が違和感がないでしょう。
特に、滅多におめにかかりませんが、70年代以前のビンテージ・ベーゼンを弾くのであれば、このキンボールは、どことなく近い傾向にある訳で良いかも知れません。

実際、このキンボールを設置し、スタジオや教室の空き時間に僕も弾いているのですが、このピアノを弾き始めてから、「ウィーン原典版」のモーッアルトやシューベルトへの理解が高まったような気がします。実はモーッアルトは昔から好きでしたが、シューベルトは殆ど弾いた事がありませんでしたが、キンボールの「何となくウィーン風のアクション」で弾くと、なかなか綺麗にハマる訳で、心地よいです。もしかして、ハンブルク・スタインウェイ(持ってませんが…)で弾くより楽しいかも知れませんね。少なくとも国産のいかなるピアノよりも、楽しく弾けるでしょう。

という訳で、宜しければ、皆さんも、このキンボールを弾きに来て下さい。

レンタルは一時間お一人様\600です。
詳しくは、
http://www016.upp.so-net.ne.jp/kimball
をご覧下さい。

大阪市北区豊崎3-10-2 I&F梅田ビル705 [電話]07054365371(問合せ専用)

ご利用お申し込みは、お名前、ご住所、携帯お電話番号,ご利用日時,人数を上記サイトにアクセスし,メールでお送り下さい。折り返しご予約確認させて頂きます。

アメリカン・ピアノについて(その3)BCクラス [ピアノ]

スタインウェイが素晴らしいのは当り前でしょうし、ハンブルクだろうがニューヨークだろうがスタインウェイである限り、「いいピアノですねぇ」と感じてしまいます。実際、良いのですが、それとは別に「有名なブランドだから良いに決まっている」という先入観から「いい」と感じてしまう場合もある訳です。

こう言ってはなんですが、日本にあるスタインウェイは良きも悪しきも「日本人向け」に整調してある場合が多々あり、本来の姿というか欧米人向けのをそのまま持って来ると、一般の日本人には弾き難い、と感じられる筈です。
早い話、ヤマハだって「日本人向け」と「欧米人向け」とでは別物みたいに違ったタッチや音色に整調されている訳ですから。

そう言えば、今はなき新大阪の旧日本ベーゼンドルファーのショールームには、同じ機種が数台ある場合、それぞれが別物みたいに違っており、理由を尋ねると、(さすがに「日本人向け/外人向け」とは言われませんでしたが)弾く人の趣向を想定して、異なるセンスのものを用意する点はさすが、だと思いました。
尤も、ショールームを閉鎖される一年位前から、なんだか国産的な整調が大部分を占めておりガッカリしましたが、その後、ベーゼンドルファー技術者によるBTECが設立され、本来の「ウィーン」式で統一されておられるようで一安心です。

別な所でも述べましたが、アメリカ人とドイツ人とでは音楽の感覚が異なり、隣接するドイツとウィーン(オーストリア)とでもかなり感覚は異なります。しかし、それらは英語とドイツ語のように同根ですが、日本人の音楽感覚というのは、もの凄く特殊で、同じようにはいきません。

基本的に、リズムの裏表が逆転しており、例えば「ニューイヤーコンサート」のアンコール曲;ラデッキー行進曲でウィーン・フィルが演奏すると、日本人と手拍子の「ノリ」が合いません。ところが関西のオーケストラの演奏だと、日本人観客とぴったりと「ノリ」が合います。

年末の第九にしても、第四楽章は「一拍三連」リズムが基調なのですが、
これは普通の日本人にはできす、ベートーヴェンの筈が、なんだか「お猿の籠屋(えーさ、えーさ、えさほいさっさつ)」のノリで大合唱してる場合が殆どです。
或は若者がダンスをする姿を見ていても、本来のノリとは違う訳で、クラシックだろうがジャズ.ロックだろうが、日本人だと「盆踊り」になってしまいます。

勿論、一流のプロは違う訳で、僕が経験した範囲で言えば、以前、クラシックピアニストの清水和音さんの演奏会に行きますと、ラフマニノフの協奏曲三番を共演するオーケストラが「欧米のクラシックのノリ」ではなく「日本的な盆踊りのノリ」で「クラシック」の清水和音さんとは全然合ってない訳です。
それで清水さんも弾き難そうというか、「ノリ」が狂ってしまいご自身でビートを取りなかしているシーンもありました。
同じシーンを、関西出身のギタリストの(確か)藤井○○さんの演奏会でも目撃しました。或は、僕の母校の定期演奏会で、何かの記念として、客演指揮に岩城裕之さんが出演されたのを観に行きましたが、指揮棒とオケの「ノリ」が全く合ってなくて、唯一、ティンパニーの先生のみが岩城さんと合っている、という有様でした。

これらの演奏会では、オケの方は、そもそも「合ってない」という意識がないらしく、平気で演奏を続けられていたし、終演後、お決まりのソロイストもしくは客演指揮の岩城さんとコンサートマスターとの握手があったりする訳ですが、正直言って、どう仕様もなくデタラメな演奏な訳で、ソリストの方も仕事とは言え、笑顔で握手したりするのは気の毒だなぁ、と思いました。
更に、母校の学生オケは致し方ないとして、清水さんと「共演」したオケがあまりにもヒドいので、僕はてっきりアマチュアかと思ってたから、関西を代表するプロオケだというので二度ビックリしました。

結局、清水和音さんや岩城裕之さん等は「本来のクラシック」であり、盆踊り調のラフマニノフやロドリーゴを演奏する方々は「和製クラシック」であり、これは全く異なるジャンルだと考えるべきでしょう。僕は、日本のクラシックやジャズの事は詳しくなくて、誰が有名だとか人気がある、とかも全然知らないのですが、ラジオやテレビで見る限り、日本人にも幾らでも「本来のクラシック(やジャズ)」の人はいますし、卑近な霊ですがAmerican Piano Socityのレンタル練習室をご利用される、多分無名な方にも「本来の〜」はおられます。

僕自身の哲学として、日本人である以上、「日本のクラシック(やジャズ)」に昇華されてこそ本物でしょうが、これは英語で例えれば「外人には通じない発音や文法=和製英語」ではなく、発音も文法もちゃんとしており、しかし、欧米人ならばやらないが、欧米人にも美しく感じる英語、というものでしょう。

実際には、まずは「本来の欧米の感覚」を身に付ける必要があり、その為の強力な武器としてお薦めしたいのが、実は今日の話題である「BCクラス/アメリカンピアノ」なのです。

ふーっ、やっとテーマに戻りました。アメリカンBCクラスというのは、スタインウェイみたいに「現役Aクラス」でも、メーソン&ハムリンみたいな「昔はAクラス」でもなく、昔も今もBかCクラスのお手頃価格のピアノです。

世界的に見て、ヤマノやカワイのように安いアップライトからフルコンサート迄のフルラインナップで揃うのは稀で、アップライトしかなかったり、アップライトと小型グランドのみ、或はフルコンは得意だが小型は今イチ、とそれぞれ役割分担しています。

さてBCクラスですが、勿論、品質的にもAクラスに落ちる、という違いもありますが、むしろ「家庭用ピアノ」として発達してきた、というコンセプトに特徴があげられます。代表的ブランドがボルドウィンで、かって米国の学校では「講堂にはスタインウェイのグランドが、教室にはボルドウィンのアップライトがある」のが定番だったそうですが、日本でも一時期は沢山のアップライトが輸入されていました。このボルドウィンのアップライトは、国産からすると「雑いなぁ」とか「ジャズは良さそうだが、クラシックには向かない」と感じたりしますが、実際には、バッハやショパン等のクラシックも、国産よりも数段上の音楽性で鳴らします。

僕の同級生で、ピアノ技術者を目指していた友人と若い頃交わした会話として、「ボルドウィンで弾くと、音がポツポツと切れてしまうから駄目だ」というのが記憶にあります。彼に言わせるとアメリカンピアノのタッチが悪いからだ、となります。当時の僕は、漸くアメリカンピアノで弾くバッハやショパンの良さに感心した、という程度しか理解がありませんでしたから、彼と似たような印象を持ちました。

ちなみに「音の良さ」というのは、当時、よく弾いたヤマハのG3やディアパソンの183Eというグランドピアノと比較にならない程に良質な響板がアメリカンのアップライトに使われいた事が理由です。今となってG3や183Eは「国産としては良質な時代」という事になるのですが、それでもアメリカンピアノと比べますと「プラスチックと木」位に音の響きや深さに違いを感じられたものです。

問題は「タッチ」ですが、これが国産とは全く異なる訳です。
というのは、今にして思えば、前述の如く、日本人の弾き方というのは、世界的にみれば異端であり、本来のクラシックやジャズの弾き方とは表裏逆転した「奏法」を持ちます。つまり「叩く」か「そっと触る」かしかなく、且つ「鍵盤を弾く」事には注意を払っても「鍵盤を上げる」事には注意を払いません。
僕は、よく「オジギ文化」と呼ぶのですが、「丁寧におじぎ」する人はいても、下げた頭を上げる事に対して注意を払う人はいません。この点、欧米人は下げるのも上げるのも同じ力をかけるし、ピアノの弾き方も「弾く」だけでなく「上げる」につしても重視します。

それが故に、欧米のピアノは「鍵盤をどう上げるか?」についてコントロールができないと、総体として雑な演奏になってしまいます。特にアメリカンブランドのBCクラスのアップライトは、強力な「突き上げ」があり、「日本人特有の雑な上げ方」で演奏すると、「雑な演奏」になり、「アメリカ人のように繊細に上げ方をコントロールしない」とちゃんとした演奏になりません。

恐らくスタンウェイも本来は「日本的な弾き方」には合致しないタッチの筈ですが、日本で流通させるにあたり、日本人技術者が「日本的」に変形というか整調してるようです。もしくは、スタインウェイのようなAクラスは懐が広い、というか、本来的な弾き方だけでなく、日本的な弾き方でも、それなりに弾けるようにできているのかも知れません。
ところが、BCクラスは「アメリカ人でないと無理」という事は全くないのですが、
「日本的な鍵盤の上げ方を意識せず、雑に上げてしまう弾き方」では、その「雑さ」が表出します。アメリカンピアノと比べると、国産の大半のピアノが、元々そうなのか、或は整調のせいか、タッチについては、「鍵盤を弾く」方はまぁ良いとして、「鍵盤の上げ方」は曖昧だし返りが遅く、「誰が弾いても同じ音」しか出なくなります。対してBCクラスといってもアメリカンピアノの場合、「雑に弾く」と雑な演奏になるし、ちゃんと弾くとちゃんとした演奏になります。

スタインウェイ等のAクラスのピアノに限って、「業務用」的に黒色のシンブルなボディのものが多いのですが、BCクラスの方が、特にアップライトは、豪華な家具調ボディを持つ事が少なくありません。
これは、欧米の家庭用ピアノは、基本的に家具や家のインテリアとコーディネイトしてデザインされているからですが、だから取って「インテリアピアノ(形は綺麗だが中身は悪い)」として取扱うのは間違いです。
中身で考えて、国産にはない「深い音色」「豊かな音楽性」や「明確なタッチ」を持つ、要は「弾く程に上手になるピアノ」である、と言えます。

さて具体的なブランドですが、元来、色々なメーカーがありましたが、
80年半ば頃から、米国生産でなく韓国やインドネシア、最近は中国に生産拠点を移しつつあり、「昔はAクラス」で今時はBクラスに落ちてた、私も興味があったメーソン&ハムリンも数年前から中国生産となりました。

中国物は嫌い、という事は全くないのですが、ピアノ製造に関しては、まだレベルに達しておらず、敢えて手を出さない方が無難と言えます。米国生産の、BCクラスも、確かに製造はいい加減な事が多々ありますが、基本的に部分はしっかりしているし、中国生産と違い、整調していくと、ちゃんとしたものに変わっていきます。

但し、スタインウェイ等のAクラスは別として、アメリカンのBCクラスは、今イチ、完璧に機会が整調されるという感じはなく、かといって、いい加減な調整でも、もの凄くは悪くならない、という性格もあります。むしろ、日本に輸入された後、下手に整調しなおされたものは、バランスが破綻してしまい、どうにもならない代物に陥っているケースがあります(尤も、それらは再調整で、ちゃんとしたものに戻ります)。

それを踏まえた上で、敢えてBCブランドを選べば、かって協立楽器によって輸入された「米国製の(中国製のは輸入されていない)」ボルドウィンとキンボールが良いかと想います。特にボルドウィンはベターです。

その他にウーリッッァーも時代によれば良いのですが、これは韓国生産になってからのものも入ってきてますから、要注意です。実は韓国生産されたものろを何度か弾いた事がありますが、音色やタッチはなかなか良いと思いましたが、機械的な部分はよく分りません。
何かの折に述べたいと思いますが、あるドイツの有名ブランドも韓国生産になっており、元の設計がよいせいか音やタッチはなかなか良いのですが、果たして、機械的にはどうなのか?私も知りたい所です。
ちなみに、韓国ブランドであるヤンチャンやサミック他の小型グランドピアノを弾いた事がありますが、正直な所、音色といいタッチといい、予想外の良さで、自分でも欲しいと思った程ですが、こちらも耐久性等については知りませんので、もしお使いの方がおられればご教示下さい。

尚、キンボールは15年程前にピアノ業務をやめ、ボルドウィンは現在は中国生産になっています。従って、今、現実に手に入れるとなれば30年位前のボルドウィンやキンボール、(米国生産の)ウーリッツァーあたりの中古となります。
多分、アップライトで50万円以内で手に入る筈ですが、信頼のできる工房等で、弦やハンマー交換、その他のオーバーホールをされると理想的です。

恐らく、国内で出回っている中古は、あまり弾かれていない物が大部分の筈で、これを再調整もしくはオーバーホールし、弾き込んでいきますと、驚く程、豊かな音が鳴り出すでしょう。このあたり、国産のプラスチッキーな材質のピアノと違い、さすがに「木でできたピアノ」だけあって、幾らでも成長していきます。

勿論、ピアノ初心者の方にもアメリカンピアノはお奨めですが、国産グランドピアノを使われているピアノ講師の方のセカンドピアノとしてアメリカンのBCクラスのアップライトを併用される事も協力にお薦めします。
僕は、BCクラスの欧米ピアノとの付き合いが割合多い関係で、逆に国産の良さというものも理解できます。

アメリカンのBCクラスというのは、簡単にいえば「ボロいピアノ」なのでしょう。対して国産というのは「よくできたピアノの代用品」という感じでしょうか。
どうも国産は「本物のピアノ」という気がしません。電子ピアノ同様、よく似た代用品という気がします。
勿論、お金があればスタインウェイやベーゼン等の欧米のAクラスを持つ事が理想的ですが、経済的に許されないのであれば「ピアノによく似た代用品」ではなく、ボロくても「本物のピアノ」を持ち、毎日、弾かれる事によって「ピアノの弾く楽しみ」が味わえます。

僕がアメリカンピアノ・ソサエティーを通してお伝えしたい事は、必ずしも、プロとしての理想的な楽器や教程を目指す訳ではなく、むしろ家庭やカフェ等で弾いたり、習ったりすればいい、等身大の音楽生活の充実です。

比較的安価で入手できるピアノや、カフェや家庭のリビングでのパフォーマンスとして最適なクラシックやジャズのピアノ音楽を皆さんにご紹介したい、という想いが、アメリカンピアノ・ソサエティーを立ち上げた理由です。

以上、まずはアメリカン・ピアノについて述べました。

次回は「アメリカン・ピアノ・メソード」について述べます。

ホームページ:アメリカン・ピアノ・ソサエティ
http://web.mac.com/pianosalon/iWeb/American%20Piano%20Sosiety%20by%20AI%20Music%20Salon/Home.html

 
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アメリカンピアノについて(その2)ブランド [ピアノ]

前回は総論としての「アメリカンピアノの魅力」について述べましたが、
今度は米国のピアノ・ブランドについて紹介しましょう。

尤も、予めお断りしますが、スタインウェィは別として、現在の米国ブランドの大多数が米国製でなく韓国や中国で生産されており、或は、中国生産になる以前の米国生産時代から、本来の品質や機能を維持せず、本来は高級品だったものが、普及品クラスの品質と価格に下げられているケースも多々あります。

つまり、現在の新品アメリカンブランドは、メーカーが作った「コピー商品」みたいなものであり、ここでいう「アメリカンピアノ」とは別物と考えた方が無難でしょう。

又、各ブランドについては、僕の個人的経験でのみ印象を述べており、たまたま弾いた個体と本来とで異なっているかも知れない事も明かしておきます。

さて、アメリカのピアノブランドですが、誰でも知っているのはスタインウェィでしょう。スタインウェィはハンブルクとニューヨーク製とがあり、元々はニューヨークで立ち上げたブランドながら、日本ではハンブルク製が圧倒的多数を占めます。これはハンブルク製の方が優れている、とか好まれる、という理由ではなく、元々ニューヨーク製は米国とカナダのみを市場対象とし、ヨーロッパや日本はハンブルグ・スタインウェィ社の担当エリアだったからです。
いわば「正規物」がハンブルク、並行輸入物がニューヨークだった訳ですが、
例えばフェスティバルホールにあった、沢山の一流ピアニストが絶賛したスタインウェィはワイセンベルクというピアニストが持って来たニューヨークスタインウェィであり、僕もそうですが、ハンブルクよりニューヨーク製の方が好きな人も日本では決して少なくありません。

ところでニューヨークスタインウェィですが、一般論として1910年〜40年代頃に製造された物がベストで、当時はハンブルク製を凌いだ、と言います。勿論、今、実際に購入するとなると、原型もだけでなくオーバーホール等を経ての実際の状態を判断せねばなりませんが、僕の経験では、ガタボロであっても、この時代の物には凄く良い音がする個体があった事は確かです。

逆に驚く程、悪いのが50〜70年代位のもの。50〜60年代というのは、ジャズといいクラシックといい米国音楽のピークであり、素晴らしい名演奏のレコード(CD)が多数ありますが、大体、新品ではなく戦前のスタインウェィで録音されている事が多く、演奏もさる事ながら録音やピアノの音色も非常に美しいものが少なくありません。

僕が好きなのレコード(CD)を上げますと、ジャズの「ビル・エバンス/ソロ・セッションズvol.1」「同/ムーン・ビームス」、クラシックでは「グレン・グールド/シェーンペルク作品集」「ホロビッツ/シューマン子供の情景」等。

ちなみに、僕はさぼと熱心に色々なCDを集める、というタイプでは全くなく、たまたま聴いたなかで良かった、というものを上げただけです。
上記のレコードに共通する特徴として「残響のになさ」が上げれます。
「残響が長い程、音楽的だ」という発想も分らなくもないのですが、残響のない部屋で、しかも接近したマイク位置で録音されたものの方が、なんだか演奏するすぐ横に立って聴いてるようで、僕は好きです。

残響が長いから綺麗、という点でジャズの「キース・ジャレット/ケルン・コンサート」やクラシックの「リヒテル/バッハ平均律ピアノ曲集1」を絶賛する人がいますが、どちらもタッチやペタリングの細かい部分が分らず、どこ迄行っても響きが同じなので聴いてて退屈します。勿論、演奏は良いのですが。

キース・ジャレットについては、録音という観点では「キース・ジャレット/祈り〜グルジェフの世界」が大好きです。これはキースの自宅スタジオで、多分、シンプルなマイクで録音されたように思えますが、殆ど残響なし、眼前の演奏が聴けます。ちなみにキースのスタジオにはハンブルクとニューヨークのスタインウェィが一台づつあり、この録音はハンブルク・スタインウェィかな、と思います。話しが脱線しますが、眼前の録音という観点ではジャズの「菊池雅章/ピアノ・ソロ」が素晴らしい。これも菊池さんの自宅録音で、愛用の1890年代(!)のハンブルク・スタインウェィで録音したそうです。なかりガタボロのピアノですが、もの凄く響きがよく、深い響きを出しています。或はニューエイジ・ミュージックの「村松健/水の中のピアノ」も自宅録音もので、1910年前後のニューヨークスタインウェィのセミコンで録音されていますが、演奏、録音共、最良です。

話しのをニューヨーク・スタインウェィの今昔に戻しますと、戦前のが良く、
50〜70年代のは駄目だ、という話しは聞いてました。僕自身、あるディラーで(そんなに、ちゃんと調整している店ではないのですが)数台の家庭サイズのニューヨークスタインウェィ中古を弾きまして、なるほど戦前のは音色といいタッチといい良いのですが、戦後のは、なんだか国産みたいなルーズなタッチと大味な音色で駄目だな、と感じて想い出があります。

ちなみに、50年代のハンブルクスタインウェィは絶品!でして、柔らかく、よく歌う音色を持っています。よく「経年変化で良い音色になりますよ」とは言われるので僕もそうだろうなぁ、と思っていたのですが、たまたま弾いた50年代のハンブルクスタインウェィが、当時、工場で選定した新品のスタインウェイで録音したと言われる「ルービンシュタイン/ショパン・ノクターン集」とよく似た雰囲気の音色だった事から、元々違うものなのだ、と思うようになりました。

ちなみに、この時分のニューヨークスタインウェィは良くないのですが、アメリカンピアノならば、むしろボルドウィンが良いと思います。
ボルドウィンは、スタインウェィよりは落ちるものの「Aランク」に位置するブランドで、当時はドイツのベヒシュタインを傘下に収め、「世界一のフルコンを作る」とばかりにベヒシュタインの技術者を動員して、SD10というフルコンを作ったりしました。

日本のヤマハもカワイもフルコンがありますから、ピアノメーカーの全てにフルコンがあるように錯覚されがちですが、そうではなく、アップライトしかなかったり、小型グランドしかなかったりするのが普通です。というか「セミコンならばメーソンアンドハムリン、フルコンはスタインウェィ、アップライトはボルドウィン」という風に得意分野で住み分けている訳です。

50年代当時のニューヨークスタインウェィはCBS社が買収したせいか、どんどん質が低下するに対し、ボルドウィンはやる気満々で素晴らしいフルコンを作りました。ボルドウィンは、だから、どことなくベヒシュタイン的なピアノですが、80年代以後、同じくベヒシュタインを真似したDiapason(日本)を愛用していた僕には親しみ易く、且つ、、機械的精度では落ちる物の、響板の質や設計の良さで、ボルドウィンの方がずっと良いな、と感じました。

尤も80年代頃から、再びニューヨークスタインウェィは良くなった、或は、ハンブルクとの差が減った、というのが通説です。僕は、80年代以後の新品のニューヨークスタインウェィはほんの数台を弾いただけですから、断定はできませんし、真偽は知りませんが、ハンブルクスタインウェィとの部材共用で品質を持ち直したのと、逆にハンブルグスタインウェィの質が低下しており、両者に差がなくなった、という所でしょうか。

勿論、ビンテージと呼ばれる中古品は、部材の交換等のオーバーホールが必要で、その点では問題がない新品と比べて、どちらか良いとも言えませんが、僕自身は、圧倒的にビンテージものに興味があります。

又、一口にアメリカンブランドと言っても下記の三種に分けられる、という点にも注意が必要です。

1,ニューヨーク・スタインウェイ
2,かってのAクラス;メーソン&ハムリン、クナーペ,チッカリング
3,BCクラス;ボルドウィン,キンボール,ウーリッツァー等

ニューヨークスタインウェィに関しては50〜70年代の品質低下を経て、
80年代以後は、やはりAクラスとしての品質を保持しています。
問題は2の「かってのAクラス」でして、メーソンやチッカリング等は、戦前はむしろスタインウェイに勝るとも劣らぬ堂々たる品質だったものが、戦後は品質のみならず設計等も異なる低下もしくは変更されるBクラスへと転落した事です。

これはフランスのプレイエルやエラール等も同様で、戦前はスタインウェイよりも上のクラスだったのが、戦後はドイツのシンメルが名前だけ替えて作るBCクラスに転落してしまいました。ちなみに、プレイエルについては、近年、フランス資本で再開したそうですが、やはり別物と言えます。

尤も、チッカリングにしてもですが、本来、プレイエルやチッカリング、ブリュトナー等は、スタインウェイと全く異なるアクションの仕組みに特性がありましたが、戦後は「普通のアクション」に組み替えられてしまい、且、響板や鉄骨等も普及品クラスか、それよりは上という程度に落としてしまいました。

僕は、たまたま昔日のプレイエル、チッカリング、ベヒシュタイン等を弾いた事がありますが、現在イメージされるピアノのタッチとはかなり異なる感覚で、普通の人には到底弾けないだろうな、と思わせられました。かと言って、それが悪いとも思えず、むしろ「スタインウェイの機械的優秀性」というか見方を変えれば「誰が弾いても同じ音になる」事の割り切りが乱暴だな、と感じました。

もし、僕が凄いお金持ち、且、ピアノコレクターであれば、戦前のスタインウェイに加え、これらの銘記、メーソン&ハムリンやプレイエル、チッカリングをコレクションし、修復したいものです。

ちなみに、フランス資本に戻ってからのプレイエルは弾いた殆ど弾いた事がないのですが、少なくとも「普及品」としては非常に素晴らしいな、と感じました。
「家庭向きのピアノ」として第一級のものかと思います。
又、メーソン&ハムリンについては、実は昔のも現代のも全く弾いた事がなく、
想像でしか言えませんが、かっては「アメリカのベーゼンドルファー」と呼ばれた、ある意味でスタインウェイを凌ぐ銘記の一つでした。
というか、スタインウェイとは兄弟みたいな関係で、スタインウェイとは全く異なるシステムだが、スタインウェイ的に素晴らしいアクションを持ち、且、メロディくな音色を持つ名器だったそうです。
僕自身は弾いた事がないので何ともいえないのですが、レコードで聴く限り、スタインウェイよりも自分の好みに合うな、と思いました。又、ある時期、このメイソン&ハムリンの代理店をやろうかな、と当時の総代理店で話した事もあります。
当時は、確かに昔日の良さは全くないが、それでもメーソン本来のアクションは継続されており、Bクラスとして(つまり国産と比べると)やはり良いピアノだ、という話しでした。尤も、総代理店が倒産した事と、その後は生産が米国から中国に変わり、関わる筈の技術者が中国生産ならば暫く手を出すな、といい、そのままになっています。
これも弾いてないから、最近のメーソンは、You-Tube等で聴く限り、国産とどっこいどっこいの安請け合いな音質なのと、機械的に安心できないので、あまり関心がありませんが。

むしろ、僕自身が興味があるのは、スタインウェィや没落Aクラスでなく、始めからBCクラスの米国ピアノです。

問題は、これらのBCクラスも、最早、生産を中国に移しており、かっての「アメリカン」ではなくなっています。但し、アメリカ生産時代のものも、アメリカでは安価な中古品として流通しており、「安い、美味い」という訳で非常に関心を寄せています。次回は、これらのBCクラスについて述べてみます。


スタインウェイ&サンズ モデルM



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Kimball Piano Salonとは?/米国ピアノ編その1 [ピアノ]

2560585628_b4902c6770.jpg僕が主宰するModern Art Societyには色々なプロジェクトがありますが,「キンボール・ピアノ・サロン」を立ち上げたのは、一口に言えば「アメリカン・ピアノが好きだ」からです。

Kimball Piano Salon http://www016.upp.so-net.ne.jp/kimball

では「アメリカンピアノの魅力」は何か?という話しになりますが、その前に「アメリカンピアノ」とは「楽器=米国製ピアノ」という意味と「教材=米国ピアノ・メソード」という二つの意味がある事をご理解下さい。

矛盾するようですが、アメリカン一辺倒という事もなく、ウィーンやチェコのピアノが好きだったり、英国系のジャズメソードやバルトークやコルトーの校訂楽譜を愛用したり、という事もありますが、敢えて一つを選べばアメリカンかな?という思っています。

そて、メソードは次回にするとして、今回は「米国製ピアノ」の魅力について述べてみます。

日本では米国製ピアノはあまりお目にかかりません。尤もアメ車同様、米国やカナダ以外では米国製ピアノはあまり普及していません。(近年、中国でアメリカンブランドのピアノが生産されていますが、これらは、本来の意味でのアメリカンピアノとは別物と考えます。)

何故、普及していないのか?

単純な話し、輸出せずとも米国内で市場が賄えたのと、他のピアノ市場を持つ国…日本やヨーロッパ…には夫々のメーカーがあり、米国から輸入する必要もなかった、という事でしょう。
或は、パリでもベルリンでも、マクドやスタバ(両者を一緒くたにするのは乱暴ですが)等のアメリカン・ファースト・フードが進出している反面、ことピアノに関しては、ヨーロッパ人は、今イチ、アメリカン・ピアノに違和感があるのでは?と思います。

非常に狭い範囲の話しで恐縮ですが、僕の友人であるドイツ人やフランス人等は、本来ピアノというものはヨーロッパ製だが、「ピアノの代用品」としてヤマハ等の日本製ピアノを選択する、と言ってました。というか、日本製は全てが無機質な、いわばH2O的な音色だから彼等にはプラスにもマイナスにもならないものの、アメリカンピアノとなると「アメリカ色」が付いており、それが邪魔になるのかも知れません。

では我々日本人にとって「アメリカ色」は邪魔か?といえば、少なくともジャズやクラシックを演奏する限りにおいて、プラスであってもマイナスでないと断言できます。僕が初めてアメリカンピアノに触れたのは、若い頃に出入りしていたある楽器店にあるBaldwinというメーカーのアップライトからでした。
スタインウェイにはハンブルク製とニューヨーク製がありますが、こちらは知らないと違いが分らないし、日頃、国産しか触れない方にも、そう違和感がない音色やタッチの筈です。(というか国産が真似してる訳ですが。)

ところがBaldwinやKimballの、しかも完全に整調してないアップライトとなると、西部劇で出て来るようなホンキートンク風の音色と国産とは全く異なるタッチで、
当時、Diapason(国産)のグランドピアノを愛用していた僕としては、かなり違和感がありました。正直、音色といいタッチといい「雑いなぁ」という所でした。

尤もジャズを弾くと、なるほど良い雰囲気だし、スゥイングさせ易すく、「さすがにアメリカンは違うな」とは感心しました。

問題はクラシック。試しにバッハを弾くと、これが全然具合にいいんです。
少なくとも、当時、国産としては最良と思えたDiapasonよりも「クラシックにあった音楽性」を持ち合わせ、気持ち良く弾けました。ショパンも予想通り。

ドビッシーもなかなか。とはいえモーッアルトは駄目かな、と思ってましたが実際弾くと「よく歌うなぁ」という所。これも良いんですね。

今にしても思えば、国産のオガクズを接着剤で固めた作ったようなピアノと、ベニヤ板とはいえ本物の木で作られたアメリカンピアノとでは「音の深み」が違って当然ですが、当時は非常に驚きました。

それと薄々感じたのは、国産ピアノがいわば「日本なまりの(外人には聴き取れない)英語」だとすれば、アメリカンピアノは「アメリカン英語」そのものな訳で、要は「欧米」とくくれる同種の音楽世界を持合わせている訳です。

蛇足ながら、僕はアメリカンだろうがイギリスだろうが英語はあまり分りませんし、アメリカン英語に何の違和感もなく、むしろ、インドやシンガポールの英語に違和感を覚えますが、本来的なイギリス英語からすれば、インドやシンガポールの方が正統(?)であって、アメリカン英語の方が発音や使い回しが異端だそうです。

そういう意味でヨーロッパ人からすれば、アメリカン人の英語やピアノは、なんとも「アメリカン」だから相容れぬものを感じてしまうのではないか、と思いますが、では「日本人のカタカナ英語」が通じるか?といえば更に異質な訳ですね。
そういう意味で「アメリカンピアノが持つ音楽性」をテコにジャズは勿論、クラシックの音楽性を吸収しよう、というは決して間違いではありません。

アメリカンピアノを推奨するもう一つの理由が、そもそも現代のピアノの現在は、チッカリングやスタインウェィといったアメリカンピアノの構造から発展しており、これの影響がないピアノはあり得ないからです。
或は、衰退しましたがフランスのエラールの影響も大です。ドイツだけでは、現代のピアノにはなっていません。

僕が密かにお手本にしているフランスの巨匠アルフレッド・コルトーの本に、コルトーの奏法というのはフレンチピアノ(プレイエル)やアメリカンピアノでないと駄目だ、みたいな事が書いてありました。尤も、コルトーがいう「アメリカンピアノ」とは実際の米国ピアノなのか、ドイツ製のスタインウェィ(当時はアメリカ系のピアノと思われていた)の事なのか、は分りませんが。

そういう意味で、今となっては「伝統的なピアノ」とは米国製を指す場合もあり、
ヨーロッパ人から見ても、アメリカンピアノは別に異端ではないと言えます。

ところで「アメリカンピアノの魅力」ですか、「欧米の音楽性」を居ながらにしろ味わえる、という事の他に、僕は「日本の家屋に合う」という点も上げます。
ヨーロッパのピアノは、どうも「石造りの家」を前提に音が作られているのに対し、アメリカンピアノは、米国住宅の殆どが木造である関係で「木造の家に合う」響きに作られています。

僕は、一時期、台湾で暮らしていましたが、その時、台湾には色々な米国製ピアノが普通に存在する事を発見しました。多分、米軍経由で入ったかと思いますが、古いピアノは米国製でしたし、楽器店でも韓国製に混じって米国製が置かれていました。それで嬉しくなって米国製ピアノを弾かせて貰うのですが、台湾の古い家屋は石造りの響きが長い空間が多かったせいか、どうにも音がモゴモゴして困りました。逆に、チェコ製ピアノやハンブルク製のスタインウェィはとても綺麗に響きました。台湾は高温多湿ですから、ヨーロッパ製ピアノは合わないのですが、それでも空間の響き加減がヨーロッパに近いせいか、とても綺麗に響く訳です。
だから時々日本に帰国すると、全然響きがない事に愕然とするとともに、そういう空間で弾くヨーロッパ製ピアノは、醤油抜きで刺身を食べるが如くに、彩色が欠け、味気なく思えました。

ところがアメリカンピアノだと、日本の空間でも結構よく響くというか、最適とは言えないにしろ、下手に石造りの空間に置くよりも、本領を発揮します。
スタインウェィもハンブルク製とニューヨーク製とで、まるで異なった鳴り方をしますが、ハンブルク製が倍音をふわりと響かせて音を作るに対し、ニューヨーク製は音の本質部分だけで鳴らすという感じです。
国産でいえばボストン(ニューヨークスタインウェィの設計)は勿論、ヤマハも、ニューヨークスタインウェィ的な鳴り方をしますが、畳や絨毯の部屋で鳴らすならば、ハンブルクより本領を発揮させ易いのでは、と思います。

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